さて、死に体というのは、全ての場面において妥当するのだろうか。それとも、着地原則による判定が微妙な場合に持ち出される第二原則的なもので、そうでない場合にはそもそも死に体は問題にならないのだろうか。
つまり、ある力士の体が、死に体の判断がなされるならば死に体となるが、まだ着地原則による決着はついていない状態において、そのある力士は既に負けなのか、それとも負けではないのか。
このように表現するならば、前者に受け取るのが自然だろう。ただ、相撲の勝負判定は、行司が軍配をあげることによるが、行司は死に体を見ずに判断するから、後者のように理解することもできるのである。
これが意味をもつかどうかは実は分かってないのだが、感覚的には以下のような違いに繋がるのではないかと思われる。
前者のように考えるのならば、両足が地面から離れた場合、その時点で足を送れる可能性等を考えることになるので、実際には次の接地により着地原則の勝負判定があったとしても、地面から離れた時点では負けにならないという判断が多くなりがちと思われる。
他方、後者のように考えるのならば、両足が地面から離れた場合、その次の接地に着地原則の判定があったときは、遡って両足が地面から離れた時点で死に体となる判断とつながりやすいと思われる。