まず、優勝が横綱にふさわしい成績として重視すべきものであるのは、前述したとおりである。最も優秀な成績ということを横綱の成績としてみることは容易だろう。
対して、先ほどの昇進例でもみたように、優勝に代替する成績が14勝であった。
14勝も前述した通りである。達成(延べ)人数としては、優勝よりも少ないので、難易度としては優勝よりも高い。この難易度だけを取り上げれば、優勝に代替することにも相応の合理性がある。
しかし、あえてそのような類型を作る必要があるのか、ということには疑問が残る。
優勝を判断要素とするのは、「第一人者が横綱だ」という価値判断が控えている。それに対し、14勝でも良い、というのは、2番手でも良い、という価値判断だろう。
私は、第一人者であるという証明である優勝こそが横綱の成績であり、それを要求することが不合理ではないと思う。
そこで、昇進不当ラインとして、優勝を要求したい。
最低限の明確性ある基準を指向しているので、前述のように、仮に継続が妥当ならば、翌場所と(12勝の)前場所以前の成績をふまえたら昇進させてもよいという判断なのだから、見送り不当ラインの下限をそのように設定すればよく、あえて昇進対象場所を異なるものにする必要はない。
したがって、綱取り継続は採用しない。