前述のように、昇進場所12勝を昇進不当ラインの一番目としたい。
優勝等の要素のみの昇進不当ラインを認めるべきか。12勝が既に条件となっている以上、優勝争い次点のうち12勝未満か、単純な次点となる。このうち次点については、優勝に近くない次点もあり、大関昇進基準として考えるにも不適合だと考えている。もっとも、横綱昇進基準では全勝が絡む場合に次点を昇進基準としており、これを認めないのも不整合が生じる。
これについては以下のように考えたい。まず、実益が少なそうとはいえ、優勝争い次点も12勝と同様に扱う。
次点を全勝の場合に横綱昇進基準に用いたのは、本来全勝の一事をもって上げたいが、それではやや甘いので一定の制限をしたからだった。そこで、大関の昇進不当ラインでも、本来昇進させたい場合には、次点を用いたい。例えば、前場所13勝以上同点以上で見送られた場合がそれである。もっとも、このような場合は後述のように10勝で昇進不当ラインに乗る。そこで、その10勝に次点が吸収されているものと考えたい。
第三に、昇進不当ラインを超えて見送られた場合、翌場所10勝を上げた場合も昇進不当ラインとしたい。見送られた場合なので、後述のように、前場所小結以上が条件である。
第四に、人数が少ない場合に、例外的に甘い昇進を認めたい。これは、横綱と異なり、必置ルールが要求されているからである。
実証的にみても、先ほどのように、70年のうち8年は12勝を上げた力士が3人であり、先に昇進した力士が残っているにしても、例外的に甘い昇進を認める必要はあるだろう。
そこで、大関(全て横綱大関を除いた前提である)が2人未満のときは、10勝の昇進を認めることにする。
ただし、このような特例は限定的な場合にしたい。そこで、原則として三役在位者の最優秀成績者のうち最も地位の高い者に限るものとするが、大関から陥落した力士はそれを優先させたい。大関からの陥落力士は慣例上関脇の下位に置かれる。その結果、東西関脇よりもこの特例が受けにくくなる。論理的にこれが不合理であるわけではないが、後述のように12勝から一定の期間を角番保護条件とすると、二桁を頻繁に挙げてた大関が突発的に落ちることがあり、この特例の昇進基準であれば常に満たしていたような力士を優先させるためである。
この昇進を、「特例昇進」とよぶ。当然、それ以外の条件を満たさない場合に限る。
来場所の大関が昇進する力士一人だけの場合に、他の三役で二桁の者がいたとき、その者に特例昇進を認めてよいか。
特例をどこまで特別視するかだが、なるべく東西一名そろえるという目的を重視して、認めるものとする。
論理的には、昇進不当ラインを満たした者が見送られ、特例昇進が認められるおそれがあるので、そのような不均衡が無いよう、特例昇進でない昇進不当ラインを満たした者が見送られていないことを条件としたい。
小結の昇進を認めるべきか。現実でも大昔に前例がある。もっともこれは1年2場所時代だからであり、6場所ならしっかり見れるという考え方もあるだろう。
しかし、前述の、対戦相手が関脇と小結で変わらないという事実を重視したい。これも現実との乖離は大きいが、現行の大関昇進に合理性が欠けるという評価をしていることから、乖離の大きい昇進基準でいきたい。
前述のように、人数が過少の場合に、別個の基準を認めた。多すぎる場合に厳しくすることもありえるが、昇進不当ラインを超えて審議されるのは前提の上なのだから、判断要素とすればそれで良いように思われる。そこで、別個の基準は設けない。
以上、
1.昇進場所において三役に在位
2-a 昇進場所において12勝以上or優秀次点
2-b 昇進場所10勝以上かつ前場所小結で昇進不当ライン超え
2-c-a 次場所大関人数が2人未満の見込み
-b 三役在位者のうち最優秀成績の10勝以上
-c 最優秀成績者に前場所大関が含まれている場合はその力士、含まれていない場合は最上位の力士
となる。
これを見送り不当ラインと合わせ、大関昇進基準1としたい。
殆ど横綱昇進基準で述べたのと同じである。
強いていえば、横綱との対戦では、負けてもマイナスに評価されることはなく勝ったらプラスに評価されること、大関との対戦はより重視されること、ここでは上位対戦圏内での成績は考慮されることが異なる。
昇進不当ラインをクリアした力士が複数いる場合、以下のように審議順序を定める。
1.星数の多い順番
2.星数が等しい者同士の場合、昇進場所の番付の順番