1場所12勝以上を基本的な昇進基準とするにしても、例外を認めない見送り不当ラインはより厳しく設定したい。そこで、横綱の見送り不当ラインである連覇から一つランクを落とした辺りの成績を見送り不当ラインとしたい。横綱の見送り不当ラインは連覇だった。
まず考えられるのが、一場所の優勝である。これが簡明であり、それで人数の問題は生じないだろう。
まずは、この一場所の優勝を条件の一番目としたい。前場所の成績次第で例外を認めることも可能だが、明快さを重視する。
次に、連覇の一段階下の成績として、二場所連続優秀次点以上も見送り不当ラインとしたい。
第三に、星数である。「文句なし」のラインなら13勝だろうか。優勝争いとまとめて、二場所連続13勝or優勝争い次点、となる。
第四に、一場所の星数での昇進を認めるか。優勝と別個に認めるなら14勝で大関昇進を確定させるかという問題になるが、認めてよいだろう。
第五に、昇進不当ラインを超えたにもかかわらず見送られた場合、翌場所12勝で見送り不当ラインを超えるものとしたい。
横綱昇進基準の場所でも少し論じたが、上位対戦圏内では対戦相手が同じとみて良いのだから、上位対戦圏内における地位に差異は本来は無視すべきだと思われる。
しかし、現実との乖離を少なくするスタンスから、三役在位は前提としたい。関脇在位もこのスタンスからは前提としたい。大関の人数は調整が難しいからなるべく見送り不当ラインを厳しくしたいという事情もある。
ただ、現在の三役の番付編成では、小結で昇進基準ラインを満たしても、翌場所関脇に上がれるのかは判然としない。この問題は上位対戦圏内の平幕においても存在するが、ここでは平幕におけるこの問題には立ち入らない。
できる限り見送り不当ラインに関脇在位を要求したい、という前提で小結が必ずしも関脇に上がれないことに対応するためには、小結で昇進不当ラインを満たした場合には関脇に必ず昇進させる扱いにするか、小結で昇進不当ラインを満たした場合に例外を認めて小結からの昇進を認めるかという選択が考えられる。
前者は、横綱と大関の昇進基準を語るという話の大枠からは外れるが、大関以上の昇進基準を自由に議論しておいて、関脇以下は全く論じられないと自己拘束をかけるのもおかしい感がある。結論としては、小結で昇進不当ラインを満たした場合には関脇に昇進するものとし、関脇在位を昇進不当ラインの前提とする。
また、連続優勝争い次点or13勝以上の前場所の地位も小結以上にすることも考えられる。関脇に限定するのは流石に不要だろう。
しかし、ここは実質を重視して上位対戦圏内の地位ならばよいものとしたい。他の条件で一場所在位での昇進を認めているので、ここで地位の制限を認めなくても不自然ではないだろう。
なお、「上位対戦圏内の平幕」というのは、千秋楽までに出場したことのある力士を番付の最上位から数えて16人目までに入る前頭とする。
翌場所の在位人数によって個別に見送り不当ラインを設定するのが丁寧ではあるが、今回は明快性を重視してそのような設定はしない。
現在では、大関が関脇に陥落した場所において10勝以上を上げた場合は、大関に戻ることとなっている。これは、前述のように、3場所連続負け越しで陥落していたのが2場所連続になった名残である。
後述のように、今回は2場所連続負け越しでも一定の場合にのみ角番を認めよう、という方向性である。3場所連続負け越しの場合になお一定の救済を認める思想とは適合的でない。したがって、このような再昇進制度は採用しない。
復活したければもう一度12勝をあげればよいのである。
以上、
1.昇進場所において関脇に在位
2-a.昇進場所における優勝or14勝以上
2-b.前場所上位対戦圏内かつ前場所から二場所連続優秀次点or13勝以上
2-c.昇進場所12勝かつ前場所昇進不当ライン超え
を見送り不当ラインとする。