殊勲は殊勲賞以外はあまり見かけない語だが、辞書的には「特別に他よりすぐれた、てがら。」を言うらしい。特別というのを、現在の殊勲賞の運用のように対優勝者、横綱大関戦勝利と具体化したとすれば、現在の運用に沿うものである。
他方、場所全体の成績でみるならば、例えば関脇以下で最優秀成績をあげた力士、というようなものでもよいだろう。
思えば、対優勝者戦勝利は一番で殊勲となり、対横綱大関戦の勝利は、数番で殊勲となり、しばしば優勝者が一場所の成績で殊勲となるという現在の運用でも、対戦単位から場所単位まで審査対象は連続的なものになっているといえる。
勝ち越し制限については、一場所単位という大枠で勝ち越しか否かをみて、その上で前述のような殊勲があるかどうかをみる、という説明はありうる。が、説得力はやはり無いのではないか。
対優勝者勝利や横綱大関戦勝利の「殊勲」が引き算されるというのは感覚的に不自然であり、加えて先に見たように、場所単位の成績は、星数によって段階的に下がっていくものであり、勝ち越しか否かは分かりやすいラインではあるものの、そこで区切る必然性まではない。
だから、個人的には勝ち越し制限は不当である。