いろいろな色の水晶

本質的には水晶(低温石英)は無色透明です。

産出する際は粘土を伴うことが多く、なかなかキラキラ光る水晶がザクザク生えているよ、って現場にはめぐり合えず、粘土との格闘になることが多いのです。

この水晶は、グリーンタフに入り込んだ熱水性の脈で、銅鉱脈の平行分岐脈の延長が隣の採石場跡地に露出していたものです。

まったくの無色透明が、理想的な水晶のあり方です。

3価の鉄分を含むと、黄色くなります。

おそらくは酸化鉄の状態でコロイド状に含まれるのでしょう。

以下のものは奈良の鉄鉱山で産出したもの。

スペイン産のイガイガ状の水晶です。多くの鉄分を含んだ石膏の中で離溶して生じた水晶で、赤い色は酸化鉄由来です。

こちらはロシア産のものですが、鮮やかなオレンジ色です。これも酸化鉄を含むためです。

タスマニアの水晶です。赤い酸化鉄の球状の集合体が見えます。

カザフスタンの黄色みがかった黒い水晶です。

色の濃い煙水晶です(滋賀県)。

真っ黒なものも、たまにあります。

下の写真は、ブラジル、バイア州のものです。

このような真っ黒いものは、モリオンと呼ばれることがあります。

紫色のものは、紫水晶(amethyst)と呼ばれ、宝石の仲間入りします。

これも鉄イオンをセンターとした電荷移動の発色だとされています。

下のものはイタリア、サルディニア島の名物です。

岩手県の無名鉱山に転がっていました。

ナミビアの紫水晶。ブランドバーグアメシストと呼ばれ、大変美しい紫水晶です。

宮城県白石市雨塚山のものです。

ピンクのものもたまにあります。チタンのためだといわれています。

アフガニスタン産。

こちらは荒川鉱山の緑色の水晶です。 シャモス石という緑泥石を多く含み、緑色に色づいています。