辰砂の鏡像結晶
辰砂(しんしゃ、cinnabar)は天然の硫化水銀 HgS で、朱肉などの顔料や、水銀の主要鉱石となる赤い色の鉱物なんですが、面白いことにこいつには鏡像性があります。
中に並んでいる硫化水銀の原子配列が、3回らせん軸を取っており、らせんに左右があって、右らせんのと左らせんのがあります。
水晶のケースと同じです。
つまり、右と左の結晶があり、その二者の原子配列は鏡面対称になっています。
この辰砂の鏡像性は、古くは Goldschmidt の時代から図示されてきたのですが、はっきりとこれが見える結晶は、かなり希少です。