藍鉄鉱(ブルー・オーカー)
藍鉄鉱 (らんてっこう、vivianite, Fe3(PO4)2・8H2O) は含水リン酸鉄の鉱物で、新鮮な時は無色透明なのですが、酸化されると濃い藍色に変化し、しだいにボロボロになります。この色変化は、二価の鉄イオンから三価の鉄イオンへの酸化の過程で起こる原子価間の電荷移動による吸収です。だいたい 630 nm に吸収の遷移バンドがあります。プルシアンブルーの発色と同じですね。
酸化に伴い、もとの結晶に含まれていた結晶水が抜け、結晶構造も変化するので、ボロボロになります。
この色変化を追うと、
無色→青緑色→濃藍色→青緑色→黄色
という流れになります。藍は、二価から三価への酸化の途中で出る過渡的な色なのです。
それを考えると、耐久性に劣るので、藍鉄鉱の藍色はあまり利用価値の高いものに思えないのですが。
かつてはこれをブルーオーカーという名で、青色顔料に用いました。
くすんだ色合いで、ウルトラマリンや藍銅鉱に比べると鮮やかさに欠けますが、大量に出てくるので利用がしやすかったのです。
堆積岩には、生物由来のリンが濃縮されて含まれていることがよくあり、これは藍鉄鉱を形成している場合が多いです。
文献)
R. G. Burns, Ann. Rev. Earth Planet. Sci., 345-383 (1981).