クロム

【性質と製法】

Ernst Leitz Wetzlar Summar 8cm F4.5

クロムの純化は、最終的には電解還元して行います。

それでも足らないときはそれを真空融解するんですが、普通はそこまでしません。

で、電解還元の条件により、粗結晶になったり、結晶質のもこもこになったり、鏡面状のもこもこになったりするのですが、これは結晶質のもこもこのタイプです。

金属クロムの塊です。

クロムのイオンは多くの酸化数を取ることができます。

その多くの価数で、緑やオレンジなど特徴ある色(吸収スペクトル)を示すため、その色にちなんで chromium という名が付いているのですが、金属は非常におしとやかな銀白色。比較的脆い金属です。

ステンレス鋼には無くてはならない元素。ステンレスでは約10-20%程度のクロムが、ものによってはさらにニッケルが加わります。

6価のクロム(クロム酸塩)が生物に対する強い有害性を持ち(鼻中隔穿孔という症状が出やすい)、嫌われ者元素ではあるのですが、身の回りに多くあって広く使われ、必須元素の一つでもあります。

元素に罪があるわけではありませんが。

【資源】

日本では超塩基性岩に伴って、鉄との複酸化物であるクロム鉄鉱として産することが多いようです。

これは北海道では、砂鉱あるいは鉱山よりかなりの量が採掘された実績があります。

これは灰クロム柘榴石ですが、三価クロムイオンに基づく緑色です。

愛媛県で2011年に発見記載された日本の新鉱物、愛媛閃石(ehimeite)です。クロムを含んだ角閃石の一種で、エメラルドグリーンの大変美しい鉱物です。

クロムは価数によって、その色が大きく様変わりしますが、鮮やかな緑、あるいはオレンジ色を示すことが多いです。

3価で緑、6価でオレンジなのですが、後者の塩は有害性から嫌われます。

エメラルドの緑も、クロムの発色です。