白金

気相で成長させた白金結晶です。

ほんのわずかに黄色みを帯びた、鋼灰色の金属で、加工性に優れ、酸化に強くくすみません。

日本人は、装飾品としての白金が大好きで、これはおそらくブランド好きに通じるものがあるのではなかろうかと。

アフリカとロシアで産出量が多いんですが、使うのは日本人とアメリカ人。

パラジウムと区別は難しいんだから、パラジウムでもいいんじゃね?って思うんですけど。

結婚指輪の金属指定ファシズム反対!結婚指輪は、オスミウムでも、ロジウムでもいいじゃん。タンタルもいいな。

金属の反射スペクトルから考えたら、白金はあまり面白みが無いので、それよか青みを帯びたオスミウムの方がかっこいいぞ。

結晶面としては、金と同じ、切頭八面体です。ちょこっと骸晶なのも似てます。まあこれは成長条件次第。

どの面が (100) で、(111) がどれかってわかりますか?

天然では超塩基性岩から (100) のみよりなる結晶、すなわちサイコロ状の結晶で出てくることが多いです。

ロシア産は典型ですね。高くて手が出ませんが。

金の場合は、砂鉱で濃縮されると、金属面がくっついて結合し、大きな砂金になるのですが、白金の場合にはそれが少ないようで、砂白金ってのは大きいものがあまりありません。硬度によるものか、表面エネルギーによるものか。

ちなみに、ある方が、platinum と「白金」は別物だって書いてましたが、日本化学会での名称は platinum を「白金」としています。

北海道の「砂白金」は、Pt 含量が少ないのは確かなんですが、混乱するので統一しましょ。

装飾品としてよりも、触媒の中心金属としての有用性が高く、指にはめてるだけじゃもったいないような気がします。

白金とパラジウムは、触媒には無くてはならないものです。

触媒としての白金は、錯体溶液としての均一系、金属単体としての不均一系があります。

不均一系ですと、非常に細かい粉末か、もしくはそれを担体に担持させたものが多く、金属としての美しさはまったくありません。

ちょっと細かい白金末です。もっと細かくなると真っ黒になり、「白金黒」と呼ばれます。

相場がけっこう仕手で、特にパラジウムがひどいので、価格変動にしばしば泣きます。

化学的安定性、熱安定性も高く、融点も高いので、物理特性、機械特性を生かした使い方も。坩堝とかそうですね。

ジクロロアンミン錯体は、抗がん剤に使われてたりします(シスプラチン)。

化学屋的発想では、金よりもはるかに使い道があります。

マンハッタン計画で、巨大な白金塊を実験で使うことになり、盗難防止対策が検討されたのですが、「ドアストッパーとして床に転がしておく」というのが採用されたんだそうです。

ファインマンがどこかでそんなこと書いてました。

まあ確かに、ドアストッパーの金属塊が白金だとは、普通の人は考えないでしょう。

白金の反射分光特性にクセがないというのは、そこからもわかります。