マンガン

電解精錬の、99.995% のマンガンです。仏頭状と表現するんですが、もこもこ。

こちらはもうちょっと純度の低い、金属マンガンの塊です。

明るい、やや黄ばんだ鋼灰色が本来の色です。

とにかく脆い金属です。マンガン単体(多結晶)がこんなに脆いとは思いませんでした。合金鋼の組成の一つだとは思えませんね。

雨水にさらして放置すると、すぐ真っ黒になるようです。真っ黒はもちろん、二酸化マンガン。

真っ黒にならないまでも、古い破断面はすぐ変色し、薄い酸化物薄膜の干渉色によって、黄色っぽくなったり青味がかったりします。

隙間には、冶金時の酸化皮膜をかぶったもこもこがあります。

どうも、断面組織から見るに、これは金属マンガンの結晶成長によるもこもこのようです。

マンガンも多くの酸化数を取ることができる金属ですが、イオン性のマンガン化合物では、二価の陽イオンがもっとも広く分布します。

この、二価のマンガンイオンは、ピンク―赤系の、大変美しい色を示します。

下の写真は天然のマンガン炭酸塩である、菱マンガン鉱です。

マンガン鉱石鉱物としては、酸化物と並び、特に利用価値の高い鉱物です。

こちらはパイロクスマンガン石。2価のマンガンイオンのケイ酸塩です。紅色の結晶です。栃木県産。

こちらは愛知県のパイロクスマンガン石です。たいへん美しい結晶です。

放置するとゆっくりと酸化して四価の二酸化マンガンになります。

真っ黒ですが、これはこれで奥の深い化合物群です。

下はクリプトメレン。二酸化マンガンの原子団がチューブ状に配列した鉱物で、チューブの中にはカリウムイオンが入っています。

岩石の裂罅から、マンガン分が染み込み、そこで酸化物となると、樹枝状の不思議な模様を作ることがあります。忍石といい、植物の化石と勘違いされることもあるんですが、リチオフォライトなどのマンガン酸化物であることが多いようです。