亜鉛

【性質と製法】

金属亜鉛の粗粒のものを作り、低温脆化させて叩き割ってみました。

亜鉛は遷移金属末端の金属で、d軌道はすべて占められていることから、遷移金属よりはむしろ典型金属に近い性質を示します。

いろいろな点でスズに似てますね。

破断面。やや青みがかった独特の銀白色が出るといいのですが。

解像力は落ちますが、この写真が一番亜鉛の色に近いかな。

結晶はやや脆く(アンチモンやビスマスほどではありませんが)、破断すると三方向にへき開をを示します。へき開の向きがおわかりいただけるでしょうか。

【資源】

亜鉛鉱石のかなりの割合は、閃亜鉛鉱です。

閃亜鉛鉱は亜鉛の硫化物 ZnS で、おなじみの鉱物ですが、意外と色彩変化があり、黄色透明だったり、オレンジ色だったり、緑色だったりします。

鉄分を含むものは銀色になり、鉄閃亜鉛鉱(マーマタイト)と呼ばれます。

日本の代表産地は細倉鉱山(宮城)と秩父鉱山(埼玉)です。

神岡鉱山(岐阜)のもよく出回っていますね。神岡のは質が良いと緑色透明のものもあります。

おそらく大黒坑の亜鉛鉱体にできた晶洞の内張りですね。細かい茶褐色のは鉄で汚れた方解石。

シャープな結晶の集合体で、一部平行連晶になっており、かなり見事です。

結晶の形は、頂点の切れた四面体。

閃亜鉛鉱は、水の作用で徐々に加水分解され、水酸化亜鉛や炭酸亜鉛、あるいはケイ酸亜鉛などからなる白い二次鉱床を作り、これはカラミンと呼ばれます。代表組成のひとつは次の異極鉱で、塩基性ケイ酸亜鉛の鉱物です。大分県産。

大規模にたまるとこれも亜鉛鉱石として採掘の対象になります。日本ですと、尾去沢(秋田)、細倉・大土森(宮城)、そして神岡などに、やや規模の大きい亜鉛の酸化帯が見つかったことがあります。