ウラン

【性質と製法】

金属ウランは非常に酸化されやすく、鋼灰色の金属なのですが空気中ではあっという間にくすみ、最初に酸化膜由来の干渉色を示した後、そのうち真っ黒に変色します。 写真はガラス封管に閉じてあるもので、酸化膜をかぶった色と、しばらく放置した漆黒色が見えます。

下の写真はある方の所有している、U-238。

密度が大きく、ずっしりと重い金属塊です。

【資源】

ウランは酸素との親和力が高くて酸化されやすく、天然には単体の形では存在できません。天然では、4価の酸化ウラン(閃ウラン鉱)や、酸素と結合した6価のウラニル塩などの様々な形で存在します。ウラン鉱物については、こちら

閃ウラン鉱は地味な黒色の鉱物ですが、ウラニル塩になるととたんに鮮やかな色を示します。

シンコロブエ鉱山(コンゴ)の閃ウラン鉱。ズシリと重い魔性の石。

オレンジのは、鉛とウラニルの鉱物でしょうね。

二酸化ウラン UO2 という簡単な組成の鉱物です。

マンハッタン計画の原子爆弾原料となったウランは、ここで採掘稼行されました。

広島の多くの非戦闘員民間人を大虐殺したのは、ズバリこの鉱物であります。

シンコロブエのウランは、鉱業権を持たない人たちによって多く掘られ、非正規のルートで盗掘密輸がされていたことでも知られます。

まあ、これはどちらかというと核原料・核燃料の管理側の言い分なんですが。

正式にはウラン採掘は終了しています。しかし、標本用にウラン鉱物の簡単な採掘は未だ続けられているそうです。

こちらはメーン州(アメリカ)の閃ウラン鉱結晶です。8面体結晶がジルコンに埋まっています。

下の写真は、人形峠のリン灰ウラン石です。

外国では、ものすごく大きな結晶が出てきます。次のものはアメリカのリン灰ウラン石。

【利用】

核燃料の原料元素として有用で、天然存在比のウラン中に 0.7%含まれるウラン235を濃縮して用います。

非常に密度の高い金属でもあり、その特性を利用し、劣化ウラン弾として用いられたりも。

活性が高く高温で空気中だと酸化反応により燃え出し、周りに飛び散って後々まで環境に影響を与えます。

昔はガラスの着色によく用いました。ウランガラスといって、蛍光黄色の鮮やかなガラスです。

次の写真は、工芸用でなく理化学用のウランガラスです。コーニング3320 という型番で、その色から「ウグイス」という呼び名で、石英ガラス-ホウケイ酸ガラスの段接ぎのひとつに使われました。

ウランガラスは紫外線照射により、鮮やかな黄緑色の蛍光を示します。