色彩の博物誌
古来より、人間は色を自然界より採取し、あるいはひとの手によって創り出し、彩りに利用してきた。物質の呈色は様々な機構によるが、分子レベルでの物質の光の相互作用、すなわち分子固有の光の吸収による着色がもっとも利用しやすい。着色をつかさどる成分を色素(色材)といい、色素のうち、溶剤に溶けないものは顔料、溶けるものは染料と呼ばれる。これらは古い歴史があるものも、近代・現代の化学によって創成されたものもある。顔料はそのまま、あるいはメディアに分散させて塗装や描画に、染料は衣類など繊維の染色に用いられる用法が多かったが、科学の進歩に伴い、染料顔料のいずれも機能性色素としての高付加価値の利用が花開いた。
古典的な色材の発生と歴史、そしてその利用をよく調べると、色の利用に対する欲求やニーズがあり、それを与える(もしくは作り出すことの可能な)資源があり、そしてそれから色材を作り出せる技術が芽生え洗練され、その三要素が揃った時に、ようやく新しい色材が利用可能になる。最後の色材調製の技術は科学(特に化学)的なものによることが多いのだが、科学の黎明期にはそのカラクリはほとんどわからなかった。現在の科学的な解釈からみて、昔の人が色をどうやって作り出し、色の科学をどうやって育ててきたのか、その点を中心に古典的なものから最新のものまで、順不同に紹介する。
黄
カドミウムイエロー(左)と、黄檗染め(右)
黄色顔料
・雄黄と雌黄(硫化ヒ素の黄色) 国産の雌黄をつくる ←NEW! (19/02/02)
・鉛錫の黄色
・アンチモンイエロー
・オーレオリン(コバルトイエロー)
・イソインドリノン
黄色染料
・キハダ(黄檗)とオウレン ←NEW! (18/08/15)
・ハルシャギクとオオキンケイギクの黄色 ←NEW! (18/06/17)
・タマネギ(クェルセチン)と国防色 ←UPDATED! (18/07/17)
・ガンボージ
・アゾ化合物の黄色
・ハンザイエロー
茶
・ハンノキとヤシャブシのタンニン茶
青と緑
ラピス・ラズリ(左)と、孔雀石(右)
青色顔料・緑色顔料
・藍銅鉱(岩群青)と孔雀石、ベルディグリ → 滝ノ下緑青と長登銅山←NEW! (18/07/27)
・紺青(プルシアンブルー) → ブタの肝臓からプルシアンブルーをつくる
→ 動物の血や魚肉からプルシアンブルーをつくる←NEW! (19/01/08)
・クロム酸化物の緑・翡翠の色
青色染料・緑色染料
・インジゴと藍、マヤ・ブルー →(タデアイによる藍染)(最も稀少な青 -ヘブライの tekhelet-)
・インジゴの採取できる植物 ←NEW! (18/05/27 に写真追加)
・ツユクサの青(アオバナ) ←UPDATED! (18/07/01 に写真追加)
・ヤマアイ(山藍)の謎 ←NEW! (18/06/02)
紫
チリアンパープル(左)と、紫石(右)
紫色顔料
・コバルトバイオレット
・ジオキサジンバイオレット
紫色染料
・チリアンパープル(貝紫)
(オウウヨウラクガイとエゾチヂミボラでも貝紫を染めてみた)←NEW! (18/06/02)
・紫根(ムラサキ) ←Reviced! (18/06/10 に写真追加)
・モーブ(モーベイン)
白と黒