・下記は使用テキスト例の一部
・英語未学習者を想定しているが、これ単体で小学生が意味がわかるようなものではない
・こういう文に慣れさせたい、中3かその先まで繰り返し使っていく予定、正確さを毀損したくない、生徒を子供扱いしたくない、などの理由で堅い文体・内容になっている
・授業ではより平易な言葉や具体例などを用いて噛み砕いて言う必要がある
・未学習者を想定して例も日本語で構成されているが、復習する際は進度に応じて英語に置き換えていくとよい
・以下、テキスト例(抜粋)
品詞
品詞とは
品詞とは単語をそのはたらきによって分類した種別のことで、英語の品詞には名詞(代名詞)、動詞、形容詞、副詞、前置詞、接続詞、助動詞、冠詞、間投詞がある。日本語の品詞には助詞や形容動詞、連体詞などもあるが、これらは英語にはない。また、形容詞や接続詞など日本語にも英語にもある品詞は、名前は同じでも機能がかなり違ったりすることもあるので注意。英語の品詞と日本語の品詞は分けて考えよう。
名詞…モノや概念につけられた名前
「机」「犬」「クロマニョン人」など人や物につけられた名称を名詞という。具体的な人・物だけでなく「日付」「学問」のような形のないもの、「幸運」「美しさ」「走ること(走り)」のような抽象的な概念、「私が考えていること」「いつそこに行くか」のような意味を伴った内容なども名詞の一種といえる。名詞に共通する性質として「主語になれる」というものがあるので、分かりづらいときは後ろに「は」を補って「クロマニョン人は」「私が考えていることは」など主語になれそうか調べてみるとよい。ただし、「今日の日付は」「ナタリー・ポートマンの美しさは」というように、何か修飾語をつけないと不自然な感じになることもある。
また、「人」「国」「県」のような集合的な扱いでなく、「ジャン・レノ」「フランス」「静岡」のような特定の人や国などが持つ固有の名前を固有名詞という。
代名詞…名詞を用いず人や物を表す
日常の会話でも、自分や相手を名前で呼ばずに「私」「ぼく」「小生」「我々」「弊社」「朕」「君」「あなた」「てめーら」「ワレ」「うぬ」「御社」などと言うことがあるだろう。また、見えているものについては「消しゴム」などと言わず「あれ」「これ」「それ」を使うこともあるだろう。このように、通常の名詞を用いず人や物を表すのが代名詞である。代名詞は名詞の一種と言えるのでやはり主語になることができる。
また、英語は同じ人や物を指す名詞を繰り返し使うのを嫌うため、一度出てきた名詞は次回から「彼」「彼女」「それ」などで代用される。これも代名詞の一種である。
形容詞…名詞をより詳しくする
名詞は一般的に集合を指す場合が多く、例えば「花」と言えば(過去・未来・空想などまで含め)世の中にある全ての「花」を示してしまう。そこで「白い花」のように表すことで名詞が示す対象を絞ることができる。「うちの庭に咲いている白い花」のようにすればさらに絞り込むことができる。このように名詞が表しているものをより詳しくするのが形容詞の働きである(「日本の首都、東京」のように、絞り込む働きではないこともある)。
「白い花」「きれいなジャイアン」「その男」「凍っている川」「食べるもの」「幾百の英霊が散ったジオン軍事要塞」などが形容詞として働くもののの例であるが、他にも「君の顔は醜い」「天地は広大である」「屋根を黒く塗る」なども形容詞の働きである。このように、形容詞の働きには色々あるが、どの場合もそれによって意味を詳しくされる対象となる名詞があるので、形容詞を考える際は形容詞だけで考えようとせず、必ず名詞とのセットでそれらの関連に注意しながら考えるようにしていく必要がある。形だけで見てしまうと、上記の「食べる」は動詞と区別がつかないし、「幾百の英霊が散った」はただの文になってしまう。「これが形容詞」という形にはあまり意味がなく、「この場合はこの部分が形容詞の働き」というように捉えることが大切だ。
副詞…名詞「以外」をより詳しくする(例外もある)
形容詞が名詞を詳しくするのに対して、(基本的に)名詞以外を詳しくする(修飾する)ものを副詞という(副は「そえる」という意味)。例えば以下のようなケースがある。
「七時に起きる」「よく東京に行く」「公園で野球をする」…動詞を修飾する
「とても美しい絵」「ギムレットには早すぎる」…形容詞を修飾する
「最も強く光る」「非常に注意深く歩く」…他の副詞を修飾する
「幸運にも私は生き延びた」「明らかに彼は嘘をついている」…文全体を修飾する
他にも句や節と言われる「文の一部分」を修飾することもあるし、名詞を修飾することもある。ただし、これら「何にかかっているか」は解釈の仕方でも変わってくることがあるのであまり気にしなくてもよく、「副詞である」ことが分かることが重要になる。特に「いつ」「どこで」「なぜ」「どうやって」「どのくらい(頻度・程度※)」などは何を修飾しているか分かりづらいので、そういうものは副詞だと覚えてしまってもよい。
※「どのくらい(程度)」は形容詞のこともある。
名詞・動詞・形容詞・副詞は英文の構造を考える上での基礎となる品詞なので、まずはこの4つからしっかり押さえていくようにしよう。副詞はその中でも少しややこしいので、副詞はそれ単体で考えるのではなく文の中でどういう役割を果たしているかに注意しながら考えていくことが大切になる(時を表す・場所を表す・理由を表す、など)。
動詞…動作や状態を表す
「走る」「(~を)食べる」「(~を)殴る」のような動作や、「住んでいる」「(~を)好んでいる」「~である」「いる」のような状態を表すのが動詞である。
動詞は、英語の中では唯一の述語になれる品詞である。省略されることはあるが、基本的にすべての文には述語が一つあるので、すべての英文には動詞が一つあることになる。日本語あれ英語であれ、述語は文の根幹となる最重要部分であるので、動詞は英文法でもっとも重要な要素になる。英語の場合、文の構造そのものが動詞に支配されるという性質もある。
また、動詞は「食べるのが好きだ」「毎日食べるパン」「ハンバーグを食べに行く」「熊に食われた鮭」などのように、述語として以外にも文の中で様々な役割を果たしている。他にも「主語・時制による限定を受ける」という性質も持っており(これは日本語にはあまりない)、中高生が学ぶ英文法の中で動詞に関する項目は数多い。
始めのうちは「動詞=述語」と考えておこう。