・中高で難易度が激変する単元
・中学は級ごとの基本的な用法しか出てこないのでそれだけなら簡単
・その分余裕ができるので、比較の文の成り立ちなどの話をしておくとよいかもしれない
・thanは前置詞か接続詞か問題
・結論から言えばどちらでもある
・thanの後ろは主格より目的格のほうがnaturalに感じられるようで、主格を用いる場合はthan I amやthan I have(I do)などのように動詞まで入れるほうが好まれる
・主格と目的格の区別がつかない普通の(代名詞でない)名詞やyouを多用するとごまかせる
・最上級に伴うinとofについて
・従来の教え方でも大した問題はない
・「複数形やallの前はof」だと単純化しすぎ
・「主語がその中に含まれるようなより広い範囲であればin、主語と同等(人、国など)のものの集合であればof」とも言える
・前置詞を教えている場合はinやofのコアイメージとも結びつけたい
・inの方は分かりやすいが、of(所属)は目的語がmy classやJapanでも「所属」と言えてしまう感じがするかもしれない
・部分集合的なイメージだが、中学生には難しいかもしれない
・than節(句)は「どの程度~~であるか」というような意味内容を表して比較級の比較対象を示すと言える
・比較対象ということがわかっていればよいので、than he hasを「彼より」と訳してしまってもよいだろう
・比較の文には大雑把に二通りのパターンがある
・形容詞や副詞の機能と言ってもよい
・例えばmanyは「多い」という意味に用いられるが、How many…?の文などでは「多い」という意味が消滅して数の大小の話題であることを示すだけになる
・比較の場合も同様になることがある。例えば
Tom is the tallest in his family.
という文には「Tomは背が高い」という含意はなく単純に背の高さの比較となり、Tomは120cmでも156cmでも18mでもよい
・このような機能を持つのは「年齢・背の高さ」など客観的で数値化しやすいもの(尺度形容詞と呼ばれる)なので、意味としては分かりやすい。
・中学ではこのタイプの比較が多い
・ただし、こうなるのは尺度形容詞のうちでも数値が大きい方、つまり「重・厚・長・大」の側の単語
・数値の小さい方、つまり「軽・薄・短・小」の側の単語にはその意味が残るので、
How short is Tom?
という文はあまり用いられない。
・強いて言えば「Tomは背が低い」という前提があって「どんだけ背が低いんだ」と尋ねる文になる。同様に
Tom is the shortest in his family.
という文には「Tomは背が低い」という含意があり、最上級はその背の低さを補強する追加情報となる(※)
・Tomが193cmであれば通常用いられない
・Tom is short.という文に追加情報がついたものとも言える
・このような比較の文は、比較部分を取り外した文にすれば大意が分かる
He is not so much a lawyer as a policeman.
という文の意味がわからなくても、比較部分(so~as…)を取り外すことによって
He is not a lawyer.
となり、「彼は弁護士ではない」という大意はつかめるようになる。
・主観的で数値化しづらい形容詞・副詞(pretty・importantなど)はhow疑問文であれ比較であれ基本的にその意味が残る
・中学生相手にここまで説明しなくてもよいが、how疑問文と絡めて比較の文が大雑把に二パターンあることくらいは教えておくと後に生きるだろう
・特に中学は前者のパターンが多く出てくるので後者のパターンも見せておきたい。高校からはそちらが多くなる
・中学の比較は内容が薄いが、muchによる強調、差分を表す表現、倍数を表す表現などは中学生用のテキストにも出てくることがあるのでこのくらいまではやってもよいだろう
・muchは教科書にも出てくるかもしれない
※文脈やイントネーションによって、tallの意味が残ることもありうるとのこと