・中学には原形不定詞(と一般に呼ばれるもの)は出てこないので、わざわざto不定詞と呼ぶ必要はない
・助動詞の後ろにあるのが原形不定詞だなどの話をしてあるのならto不定詞と言ったほうがいい
・どうせ高校ではそう呼ばれるので慣れておく意味もある
・初歩的だが、toを使うのだということを印象づける効果もある
・単に不定詞と言うよりも「それっぽい」ので、一部の生徒にはその方が受けがいいかもしれない
・to不定詞と言えば多数の用法を覚えるのが定番であるし、最終的にはそうするしかない部分も大きい
・が、助動詞や前置詞のようにコアメージを持って各用法をそれに結びつけていくような学習ができたほうが力になるだろう
・また、各用法を覚えるに当たっては今までよりももう少しだけ進んだ品詞の理解や後置修飾の知識があるとなおよいので、品詞や前置詞(形容詞句)の復習と並行しながら進めていくとよい
・to不定詞のコアイメージについて
・不定詞(原形不定詞)の部分には抽象名詞的なニュアンスがあるというところから説明する
・「誰かが実際に行っている(行った)動作を表すのではない」ということが分かる程度でもよい
・難しいが、「走る」などと鍵括弧をつけてみたり、辞書の見出し語を例に取ってみたりすると少しだけ通じやすいかもしれない
・何にせよここではほんの少しだけ理解に近づくだけでもよい
・原形不定詞に抽象名詞的ニュアンスを感じてくれれば、あとはtoが前置詞で原形不定詞がその目的語である、というのがto不定詞のコアイメージとなる
・このtoはもちろん普通の前置詞と同様に考えられるので、「そちらに向かっている」「直面している」のような関連付けが為されるというイメージになる
・そこから目的、予定、意志、義務、可能、運命、結果などのニュアンスを持つ
・高校で扱うbe+to不定詞の構文を思い浮かべるとよい
・原形不定詞の抽象名詞化がうまくいかない場合でも、「目的語が動詞の原形になる、前置詞toの特殊な用法」という感じに伝えておくとよいかもしれない
・toのニュアンスも、いざとなれば「紐付けられている」「関係している」のような大雑把なイメージでもよい
・それだとどの前置詞にでも当てはまってしまうが
・不定詞の用法と言えば副詞用法、形容詞用法、名詞用法であるが、実際はこの3つで済ませずさらに小項目を作ってもう少し細かく分けたほうがよい(特に副詞用法)
・複雑化するようにも見えるが、どうせ訳し分ける必要が出てくるので細かい用法ごとに分けてしまうほうがすっきりするはず
・副詞用法…目的を表す(…するために、…しに)/理由・根拠(…して嬉しい、驚いた、など)を表す
・いわゆる結果用法は中学では扱わなくてもよいだろう
・形容詞用法…被修飾語と不定詞の関係などで分けられるが中学では難しいので後置修飾ということだけはっきりさせてあとは意味内容による訳し分けでもよい
・「今日やる宿題」のように日本語の字面に反映されてこないケースに注意
・名詞用法…主語/目的語/補語に分けられる。「こと」で統一できるが、文の要素の復習も兼ねて別々に扱いたい
・よくある「こと/ための/ために」は、英語から日本語に訳すだけならそれでも何とかなる
・が、それだけだとto不定詞の理解に近づかないので発展性がなくつぶしも効かない
・中学生の間でも、和文英訳などでそれらを含まない日本語を見た時に不定詞を用いることに気づけない恐れが大きい
・名詞用法も、特に主語の場合は「こと」がつかない場合も多い(「英語を話すのは難しい」)
・副詞用法、形容詞用法はさらに色々な字面で表現されうるので色々触れさせておくのもよい
・to不定詞の用法判別は「文法問題のための文法」のように見える部分もあるが、品詞・文の要素・後置修飾が絡んで文の構造を確認する練習によいので多めにやらせておきたい
・一文を全訳してその日本語から用法を判別、というのはなんのための用法判別かわからないので、はじめのうちはまだいいとしても各用法に馴染んだ後は避けたい
・不定詞は動詞なのでもちろん動作主(意味上の主語)や対象(意味上の目的語)が存在する。意識されない場合もあるが、特に文中に登場している場合はそのあたりのことも逐一押さえながら説明していくと高校以降が楽になるだろう。