参考資料6 疑問詞テキスト(仮)
「~かどうか」という、肯定や否定で答える疑問文は既に扱ったが、今回は肯定や否定で答えるのではない疑問文を紹介する。よく5W1Hとか言われるものであるが、wは5種類以上ある。
疑問詞は原則として文の先頭に置かれ、基本的にその後は疑問文の語順になる(疑問詞が主語になる場合は平叙文の語順)。また、一部の疑問詞は別の単語を伴って複数の単語で疑問詞(疑問詞句)を作る。
疑問詞は原則文頭に出てきてしまうため、OがSの前に来るなど文型による本来の語順が崩れることが多い。
・What「何」
名詞(形容詞)の疑問詞。文中の主語・動詞の目的語・前置詞の目的語などが何(人以外)であるかを尋ねるときに用いる。
What did you eat last night ? 昨晩何を食べましたか(whatはeatの目的語だが疑問詞なので文の頭にある)
What is he talking about? あいつは何の話をしているんだ(何について話しているんだ)(Whatはaboutの目的語)
前置詞の目的語になる場合、前置詞と目的語を連結するために前置詞ごと文頭に出てくることがある。やや文語的。
About what is he talking?
疑問詞が主語になるケースでは、語順が平叙文のままなので注意。また、whatは原則として三人称単数扱いである。
What happened yesterday? 昨日何が起きたの?(whatが主語なのでそのままSVの語順になっている)
whatは形容詞になることもある。その際は名詞を伴って疑問詞句を形成する。「何の~」「どんな~~」と訳される。
What sport does Tom like? トムは何の(どんな)スポーツが好きですか。
(×)What does Tom like sport?
この疑問文を平叙文に直すとTom likes tennis.のようになるが、ここでtennisをwhatに変えて
What does Tom like? トムは何が好きですか。
としてしまうと、英文としては完成しているが何の話題かわからない。そこでwhat sportとすることで聞きたいことをはっきりさせている。
whatが形容詞になるときの慣用的な表現として、What time~?(時刻を尋ねる)、What day~?(曜日などを尋ねる)などがある。
・who/whose/whom「誰」
名詞(形容詞)の疑問詞。whatが人以外なのに対し、こちらは人を表す。文中の主語・動詞の目的語・前置詞の目的語などが誰であるか尋ねるときに用いる。
人称代名詞のように格変化し、whoは主格、所有格(所有代名詞)と目的格がそれぞれwhoseとwhomだが、whomはwhoで代用されることが多い。
同じ名詞なので基本的な扱いはwhatに似ている。
Who do you meet tomorrow? 明日誰に会うの?(whoはmeetの目的語)
これらのwhoは目的語なので本来ならwhomを使うはずだが、動詞の目的語の場合はwhoで代用される場合が多い。中学英語ではほぼ必ずwhoが使われる。
※この文は未来の文だが、確定的な未来は現在形で表現することがある。
Who do you usually play soccer with? ふだん誰と(一緒に)サッカーしてるの?(whomはwithの目的語)
With whom do you usually play soccer?
前置詞の目的語になるときもwhoが使われる場合が多いが、2番目の例のように前置詞ごと文頭に出てくるときはwhomが使われる。
Who broke this window? 誰がこの窓を割ったの?
Who knows it? 誰がそんなことを知っているんだ?(誰も知らないだろう)
主語になるときの注意点はwhatと同様。whoも三人称単数扱いである。
whoseは所有格なので形容詞扱いになり後ろに名詞を伴うが、所有代名詞扱いで単体で使うこともある。
Whose bag is this? これ誰のバッグ?(whoseは所有格、thisは指示代名詞)
Whose is this bag? このバッグ誰の?(whoseは所有代名詞、thisは指示形容詞)
who/whose/whomはこのままの形で関係代名詞という中学後半の山場でも出てくるので、関係は身につけておこう。
・which「どの」
whatと同様の名詞の疑問詞。whatと違って対象が限定されている(選択肢がある)ときに用いて、「どれ」という意味を表す。その他はwhatに近い。
選択肢は文脈上明らかだったり、文中で示されたりする。
Which do you like, apples or oranges? リンゴとオレンジのどちらが好きですか。(Whichはlikeの目的語)
選択肢を示すときはこのように「, A or B」を付け加える形が多い(中学では)が、他にもいろいろな表現がある。
Which is your father? あなたのお父さんはどれですか(whichは主語。主格補語とも取れる)
この場合は写真などを見ていることが推測できる。
whichもwhatと同様に形容詞にもなる。名詞を伴って疑問詞句を作り、「どの~」などと訳される。what以上にこの用法が多い。
Which book is your favorite? どの本があなたのお気に入りですか。(which bookは主語)
Which country did you come from? どこの国(どの国)から来ましたか。(Which countryはfromの目的語)
Which subject do you like? どの科目が好きですか。(Which subjectはlikeの目的語)
一番目のものは幾つかの本が挙げられている(または見えている)状況が考えられるが、二番目と三番目はもともと選択肢が有限なので(bookも一応有限ではあるが)、whichでもwhatでも似たような意味になる。
このwhichも、who/whose/whomと同じく関係代名詞という中学後半の山場でも出てくる。
・where「どこ」/when「いつ」/why「なぜ」
whereは場所を表す副詞の疑問詞。副詞なので修飾語や副詞類になる。
whenは時を表す副詞の疑問詞。副詞なので修飾語や副詞類になる。
whyは理由を表す副詞の疑問詞。副詞なので修飾語や副詞類になる。
Where do you live? あなたはどこに住んでいますか。(whereは副詞類)
When did he come? あいついつ来たの(whenは修飾語)
Why are you so angry? 何でそんなに怒ってんの?(whyは修飾語)
ただし例外もあり、例えばWhere are you from?(「どちらのご出身ですか?」)という英会話でおなじみのフレーズでは、whereは代名詞でfromの目的語となっている。
・how「どのように」「どのくらい」
howは副詞の疑問詞だが、
・単体で「どのように/どのくらい」と手段や様態などを表す
・形容詞+名詞を伴って名詞の疑問詞句になる
・形容詞を伴って形容詞の疑問詞句になる
・副詞を伴って副詞の疑問詞句になる
と様々なバリエーションがある。二番目以降は程度(どのくらい)を表すと思えばよい。
How did you know it? どうやってそれを知ったの(何でそれを知ってるの)
How many brothers does Jane have? ジェーンには何人の兄弟がいるの(how many brothersはhaveの目的語)
How old is Tom? トムは何歳なの(how oldは主格補語)
How often do you study English? どのくらい(の頻度で)英語を勉強しますか。(How oftenは修飾語)
二番目の「how many+名詞」という疑問詞句は中学では特別扱いで中1の序盤から頻繁に目にすることになるが、「そういうもの」として暗記するのではなく、howの用法の一つとして身につけておこう。また、その機能から考えて名詞は複数形でないとおかしいことに気づいておこう。
「how many+名詞」や「How old」などのmanyやoldには「多い」「古い」といった程度を評価する意味はなくなっており、「多いか少ないか」「古いか新しいか(→年齢)」という程度の物差しを示す単語になっている。日本語の「長い」と「長さ」の関係に似ている。形容詞や副詞には時々こういう事がある。
(一方で、newがこのような機能を示すことはない。日本語で「長さ」の意味で「短さ」とは言わないのと同様)
※名詞には可算名詞(countable)と不可算名詞(uncountable)があり、可算名詞は本や人間のように形状がはっきりしており一つ一つの区切りがあるもの、不可算名詞は水や概念のように形がなく「ひとつ」の境界が存在しないものを表す。
「水の入ったグラス」は数えられるが「水」は数えられないし、硬貨や紙幣は数えられるがお金は数えられない(これは分かりにくいかもしれない。「1gのおもり」の個数は数えられるが「重さ」は数えられないのと同様と思えばよい)。
「多い」あるいは「多さ(個数や量)」を表現したいとき、名詞が可算名詞ならばmany、不可算名詞ならばmuchを用いる。このように可算名詞と不可算名詞で対応する表現が変わるものは結構あるので可算と不可算には気をつけておこう。また、可算名詞には原則として「冠詞(aやthe)がつく、または複数形になる」という特性がある。不可算名詞はその意味上当然aがつかず複数形もない。可算名詞の複数形や不可算名詞にtheがつくことはある。
How much money do you have? お金いくら持ってる?
上のbrotherは可算名詞なのでhow manyだったが、money(お金)は不可算名詞なのでhow muchになっている。