・連立方程式は教科書レベルで既に操作や手順が洗練されすぎている
・生徒は容易に自分が何をしているかを見失って作業をこなす態勢に入りがち
・まずは加減法とか代入法とかを与えずに自力であれこれ悩ませたい
・「当てはまる数を探すパズル」の感覚でもよい
・手順例
1.1次方程式の復習。何を求めているかの確認も
2.2x+3=5とx+y=-2のような2つの式からx、yを求める計算。片方が一変数の連立方程式といえるが、この時点では{を縦に伸ばしたような記号は使わず、2つの式をわざと離して書くなどしたほうがよいかもしれない
問題文は「連立方程式を解きなさい」ではなく「2x+3=5とx+y=-2の2つの等式を同時に満たすx、yの値を求めなさい」や「2x+3=5であり、x+y=-2でもあるようなx、yの値を求めなさい」のような文章のほうがよいだろう
3.x-y=2とx+y=4のような簡単な連立方程式。数当てパズルの感じで解いてもらう。{のような記号はまだ使わない
4.解が多少複雑になって数当てでは対応できないものをやらせる。できなくてよい(できないほうがよい)。{はまだ使わない。
「複雑」は生徒による(負が混じっただけで無理な子もいれば、簡単な分数なら当ててくる子もいる)
5.この辺で加減法が登場。たまに線分図のようなものから加減法のようなものを自力で編み出す生徒もいるが、そういう子は好きにさせておけばよい。{は使わなくてもいいだろう。簡略化・記号化でしかないので既製のテキストの問題以外では使わなくてもよいかもしれない
6.教えるのは加減法で文字を消去するところまでで、そこから先は自分で考えさせたい
7.係数を揃える、分母を払う、括弧を外す、などは既製のテキスト通りに進めればよいが、解の確認は必ずさせておく
8.代入法に関しては「文字を消去するにはこんな手順もある」というところを強調しておきたい。やっていることは同じだが中学生には同じに見えづらい場合もあるので、せめて「目的(文字を消す)は同じ」という認識は持たせたい
同様の理由で、「代入法で解きなさい」は代入法の導入時の練習問題以外では避けた方がよい
※同値性について
・加減法では①+②のような処理で第三の式③を導き、それを解くことで片方の解を得る
・そののち①に代入するなどしてもう一方の解を得るのだが
・それらの(x, y)は①と③の解であって、本当に②の解であると言えるのだろうか?という疑問を生徒に投げてみたい
・③は①+②によって得られ、②は③-①によって得られるので、「①かつ②」と「①かつ③」は同値であるということになる
・従って①と③の解は②の解でもあるということになるのだが、そこまで理解させる必要はなく、考えてもらうだけでもよい
・同値性や必要性・十分性を意識する何かのきっかけになれば儲けもの
・もちろん、それとは別の話で②にも代入して確認するという手順は必ず踏ませたい。ここまで安定感のある確認手段はあまりないので怠るのはもったいない
・なぜ①に代入するのでは駄目なのか、も生徒に考えさせたい
・③でxを計算間違いし、それに基づいて①からyを求めた例(①は満たすが②は満たさない)などを用いて説明しておきたい
・どの学年の方程式でもそうだが、後の文章題で出てくるであろう式も練習問題に混ぜておきたい
・食塩水の問題などは既約でない分数や文字のない掛算などが式に混じりがちなので計算で戸惑う子もいる
・文章題は「式を立てられたら終了」という状態にしておきたい