・教科書では加(→)減→乗(→)除、というような順序になっている
・ひとつひとつはできてもそれらがランダムに出題されると挙動がおかしくなる子が下位層には多い
・加法だけならOKだが加減が混じるとダメ、加減だけ、乗除だけなら大丈夫だけど四則混じるとダメ、など
・基本的には四則揃ってからが本番になる
・詰まる原因は正や負の理解の問題だけではなく、足し算や掛け算にどういうイメージを持っているかの問題であることもある
・例えば加減に対して増減の、乗除に対して拡大縮小のようなイメージを持っている子なら、負の数が正の数の逆方向だという理解があれば解けるようになるはず
・加減乗除に機械的操作以外の認識を持たない子だと操作が複雑化・多岐化する
・単純計算で2×4×2=16通りの操作を区別して覚えることになる
・加えてその判断と数値部分の計算が切り分けられず思考が混ざるのでわからなくなったりおかしな計算になったりすると思われる
・なかなかうまくいかない子の場合は数直線(0以上)などで四則にどういうイメージを持っているか確認してみるとよいかもしれない
・符号を抜きにした四則の処理(つまり算数の範囲)ができない子はそんなにいないので、まずは負の数の処理を身につけるために+1や-1で計算させてみるという方法もある
・参考資料(クリックでページ移動して拡大画像)
・累乗
・それ単体での計算自体はそんなに難しくない
・四則混合の計算に混じっていたりすると手が止まったり符号を間違えたり妙な数字が出てきたりする
・中下位層は四則混合が安定するまで累乗は混ぜないほうが無難かもしれない
・中下位層の場合、安定してくるまでは掛け算の形に直させたほうがよい
・負の数の累乗で引っかかった挙句に「二乗は正、三乗は負」とよくわからないまま暗記し始める子もいるので、その対策でもある
-3²と(-3)²、3²/5と(3/5)²などについては最初から違いが分かる子ばかりではないので、指数の影響範囲?などについてきちんと説明したり考えてもらったりしてその子なりの理解を伴った形を作りたい
・とにかく「二乗が括弧の外にあるときは云々」と暗記してしまうのは避けたい
・四則混合
・ここまでの内容が怪しい子は、四則混合に入る前に復習したほうがいい
・算数範囲での計算順序問題も復習しておくとよい
・あまり順調でない子の場合、はじめは累乗が混じるものを外したほうがよい
・小学校範囲(+累乗)の計算順序、正負の四則演算、累乗の処理ができていればある程度の正答率(6~7割)があるはず
・そういう子はあとは問題数をこなして速度と精度を上げていけばよい
・このあたりの基礎計算で速度と精度が両立していないと今後の数学ライフが暗いものになる
・半分以上間違えるとか異様に時間がかかるとかの場合、上記内容のどこかに傷がある可能性が高いので、生徒の解くところや答案をよく観察して傷を見つけたらそこをやり直したほうがよい
・幸い、この頃は学校の進度も遅いので、下位の生徒に丁寧な指導をしても学校に置いていかれる恐れはそれほどない
・それぞれの内容に目立った傷がないのに四則混合になると誤作動を起こす子もいる
・そういう子の場合は四則混合に問題があるということなので難易度を調整しつつ数をこなして訓練していくしかない
・正答がおぼつかないうちは1行づつ丁寧に計算していくのがよいが、例えば以下
(-1)³×(-2)²+(-4)³÷(-2)³
のような問題で
{(-1)×(-1)×(-1)}×{(-2)×(-2)}+{(-4)×(-4)×(-4)}÷{(-2)×(-2)×(-2)}
などという式を書くのは現実的でない(中括弧の扱いで混乱することも予想される)
・累乗などは空いたスペースを使って別に計算するよう指導する手もある
・もちろん、できるなら暗算が望ましい
・ただし、妙な「計算ルール」が生徒の中に発生するリスクはあるので留意しておいたほうがよい
・「累乗は別スペースで計算しなければならない」のようなもの
・また、その際「別スペース」でなく「答案の続きが流れていくはずのところ」に書いてしまう子も割と多い
・書いた計算を消したり答案の続きがワープしたりする羽目になるので、そのあたりのことも指導する必要があるかもしれない
・下位のみでなく中位の生徒でもその辺の「お作法」がいまいちの子は結構いるので、気をつけて観察するほうがいい
・中~上位の生徒で、どう見ても飛ばしても良いような行を律儀に書き続ける子もかなり多い
・これを放っておくのはそのスタイルを容認・後押しすることになる
・いずれ重症化して修正が利かなくなる恐れも大きい
・本人の負担になりすぎない範囲で少しずつ行を削らせていきたい
・他にも、4×(-3)+(-8)÷(-2)のような式で前の掛け算と後ろの割り算を同じ行で処理できることに気づいていない子などもたまにいるので、生徒の計算操作には気を配っておきたい
・既成のテキストなどはすぐ分数や小数を登場させるが、整数での計算が怪しいうちは手を出さない方がよい
・不安が残るうちは数値をちょっと変えるなどして整数での計算を徹底的にやらせよう
・この単元のみ、さらに言えば数学のみにも限らないが、とにかく既成品のテキストの解答欄を埋めよう、埋まってしまったから機械的に次に進もう、という指導は下の下である