・英語教育は「読む、書く、聞く、話す」の四技能を重視する方向に移っていく
・が、この「四技能」には「英文法」が入っていない
・その流れで、中学英語(と、おそらく今後の小学英語でも)文法忌避に近いレベルの文法軽視が進んでいる
・中学で身につけておくべき文法の基礎が身についている高校受験生はかなり少ない
・四技能と言えども全て英語なので、それを構成する文法なしにきちんとしたレベルのものが身につく可能性は低い。文法は言語のルールであり柱であるので、これを軽視して四技能を強化しようというのは無理がある
・英語教育の専門家もそのように言う人が多い
・中学校の文法忌避は深刻で、教科書も用語を避けて日本語訳で物事を説明しようとする傾向にある
・教科書の基本文の欄には不定詞という言葉も名詞という言葉も登場せずに「『~すること』と言いたいとき」などというようなことが書かれていたりする
・授業では不定詞という名前くらいは出てくるだろうが、3年間を通して目的語・前置詞・接続詞といった言葉を授業で一度も聞くことなく卒業する生徒も珍しくない
・一方で、高校ではある程度体系立てられたきちんとした形で英文法が扱われており、このレベルの文法がきちんと身についていれば四技能も強化しやすくなるだろうが、多くの生徒は身についていない
・高校英文法は中学の内容も含むが、実際にはそれがある程度身についている前提で授業がなされる場合が多い
・ところが、多くの生徒はそれが身についていないまま高校受験をクリアし入学してしまうので高校の授業の内容がよくわからない
・結果、高校英文法は「難しい」というレッテルを貼られ「理解するもの」から「暗記するもの」に変わる
・そして「よく分からないまま詰め込むように覚えさせられる」という濡れ衣を着せられ「文法偏重」「暗記教育」という謗りを受けることになっている
・中学レベルの英文法は(完璧でないにせよ、ある程度は)中学で身につけておくという当たり前の姿勢がないことが英文法から英語全体を難解なものにしていると考えられる
・中学指導者は教科書程度の英文法を生徒がきちんと身につけられるように指導するのが望ましい
・扱う英文法は必ずしも教科書の順序に従わないが、大雑把には多くの教科書と同じ流れにしている