❍American Brandy
アメリカにおけるブランデー生産は1842年、スイスからの移民ジョン·サッターがカリフォルニアのサクラメントで「野生ぶどう」を原料に試みたのが始まり。
現在もアメリカンブランデーは、カリフォルニア州でしかつくられていない。
主要原料品種はトムソン·シードレスだが「エンペラー」「フレーム·トカイ」最近では「ユニ·ブラン」「フォルブランシュ」「コロンバール」なども使われ、コニャックに近い味を目指す動きが出ている。
蒸留は、連続式蒸留機で蒸留するが、一部単式蒸留器を使っている所もある。
カリフォルニア州の規制では、蒸留度数85度以下、カラメル 砂糖などの添加量は2.5%以下となっている。
熟成にはアメリカンオーク樽よりも、バーボン熟成に使った空き樽を再利用することが多く、製品の風味にアメリカらしい複雑味を添えている。
❍Armenian Brandy
コーカサス地方南部のアルメニア共和国はノアの方舟で有名なアララット山を擁し、最古のワイン産地のひとつ。
首都エレヴァン市では、1881年からブランデー蒸留所が稼動し、中東欧随一の品質と評価されてきたが現在も健在。
1945年のヤルタ会談で、英·チャーチル元首相がドゥヴィンというアルメニアブランデーに深く感銘を受け、毎年数ケースずつ送ってくれるよう頼んだと言われている
❍Australian Brandy
オーストラリアのブランデーづくりは、ポートやシェリーが好きなイギリスやドイツ出身移民に向けて、甘口フォーティファイド ·ワイン(酒精強化ワイン)をつくる必要からスタートした。
現在は「パロミノ」「ペドヒメネス」「トレッビアーノ」などの白ワインから、単式、連続式を併用して蒸留。
熟成は、 オーク樽で2年以上が必要。5年以上の熟成品は "オールド"10年以上の熟成品は“ヴェリーオールド"の表記が許される。
なお、生産地は主として南部のマレイ川流域に広がっている。
❍Georgia brandy
旧ソ連の一員グルジア共和国はコーカス山中の国。
トルコと一部国境を接している。また、一部黒海に面した海岸線ももっている。
ぶどう栽培の歴史は古いが、ブランデーを工場で蒸留するようになったのはトビリシ市で1886年から。
現在ブランデー用ぶどう品種は、ルカチテリ、ムツバーネ、チヌーレなどが使われている。
❍Spain brandy
スペインではワインとともにブランデーも国民酒になっている。
スペインのブランデーは、ラ·マンチャ地方のアイレン種が主原料。各地のパロミノ種がこれに次ぐ。
ラ·マンチャ地方で収穫、蒸留したものを独自に熟成させたブランデーが多い。
一般的に、スペイン産ブランデーは、シェリー香をもち、同時に果実香もある。
シェリー産地で、独自に熟成させたものは“ブランデー·デ·ヘレス"の原産地名(DO) が許される。
熟成に応じて、ブランデー·デ·ヘレス·ソレラ(6ヵ月以上)、ブランデー·レセルバ(1年以上)、ブランデー·グラン·レセルバ (3年以上)と名乗れる。グラン·レセルバは、通常15年程度の熟成品。
単式蒸留器で蒸留された原酒をスペインではアルキタラと呼んでいるが、高級ブランデーはそれだけをブレンドする。
また、カタルーニャ地方のブランデーも「エスプリ」のDO名を認可。マールやグラッパ·タイプもつくられ、「オルーホ」と呼ばれている。
❍Germany brandy
ドイツで蒸留が始まったのは、1588年から。
主として、薬酒と穀物の蒸留酒をつくり、ぶどうはもっぱらワインにされてきた。
現在のドイツ産ブランデーも、フランス イタリア スペインなどEU諸国から、酒精を強化したワインを購入しドイツで蒸留したものがほとんど。そのため、ぶどうの個性よりも、マイルドさを楽しむお酒になっている。
ドイツでのブランデーの一般的名称は"ブラントヴァイン”だが、85%以上をドイツ国内で蒸留したものは"ヴァインブラント"として区別、高級品扱いされる。味わいはライトタイプ。
❍ Japan brandy
国産ブランデーの風味上の特徴は、香りと味がマイルドなこと。
ひとつの個性を突出させるより、全体のバランスのほうに重点をおくタイプの酒質。なので水割りで飲むのに向いているし、製菓用としても無難な風味になっている。
コニャックやアルマニャックには、ナポレオンやXOなど厳格な基準をクリアしないと名乗れない。
しかし「国産ブランデー」は、「フレンチブランデー」と同様、この基準が当てはまらないのでXOなどとラベルにあっても「コニャック」「アルマニャック」などと同じ熟成年数とは限らない。
現在、国産ブランデーの多くは、サンテミリオン種(ユニ・ブラン種)や甲州種を原料にしている。
製品には国産の原酒に輸入原酒をブレンドしたものが多い。
この場合、海外提携先の生産拠点で自ら原酒を生産したり、日本人の舌に合うような原酒を丹念に探したりして、輸入している。
❍ South America brandy
メキシコ以南の中南米諸国では、お酒といえば、ラムとブランデーが圧倒的に優位に立っている。
南米大陸での最初の蒸留は、17世紀に入ってから現在のペルーのイカ渓谷でスタートしたといわれる。
西欧から移住した人が、西欧から移植したマスカット系ぶどうでつくったようだ。
その伝統を今に引き継いでいるのが、ペルーとチリでつくられているピスコ。
モスカテル種ぶどう主体の白ワインを単式蒸留するが、搾りかすを蒸留する場合も多く、両者をブレンドすることもある。ふつう熟成なしで出荷されるがチリの一部の製品は樽熟成をしている。
❍South Africa brandy
南アフリカのぶどう栽培は、1655年オランダの総督が移植したのが最初で、その4年後にワインが誕生。
ブランデーはさらに13年後に誕生。
現在は、単式蒸留器で蒸留、3年以上熟成させたお酒と連続式蒸留機で蒸留したお酒をブレンドしている。
❍Portugal brandy
ブランデーは、大手ワイナリーの手でワインの副次的な生産品としてつくられている。
安価なものは、ワイン用ぶどうの絞りカスでつくり、良質品はワインから蒸留してつくりオーク樽で熟成させる。
スペインものにくらべ、やや辛口。
❍Moldova brandy
旧ソ連のなかで西南端に位置し、ルーマニアと国境を接する共和国。キショフが首都。
白ワインとスパークリングワインの名産地だが、ワインを蒸留したブランデーでも東欧にファンをもっている。
単式と連続式を併用して蒸留している。