[UE4ぷちコン 映像編2nd]振り返り:シーン「ぬくもり」

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概要

    • マッチでぬくもりを得るシーン振り返り

    • 時間や技術の都合でできない所は割り切り、その分はできる所に注力

    • Post Proessで雰囲気出た

ぬくもり

マッチ箱

フリーのマッチ箱モデルを探して、

Megascansの超品質Textureを貼る。

Paperで検索すれば厚紙っぽい質感のものが出てくる。

内箱を動かしたいので、外箱と内箱を別のComponentにしてActorを構成。

マッチのロゴ画像はUnreal Match 3のプロジェクトサムネイル画像を拝借した。

そしてモデルデータをいじるのが面倒だったのでDecal Componentで張り付け。

この際、Decal MaterialでBlend ModeをDBuffer Translucent Colorにしておく。

これで、箱Materialで設定した厚紙のRoughnessとNormalを上書きせずに

Decal色で着色のみ行う事ができる。

ついでにLevelの床に貼ってあった雪汚れDecalもそのままパクって貼っている。

※このやり方だと、

内箱にもDecalが貫通して描かれたりするし実行時負荷もあるので、

ゲームProjectではDecalとか使わずにちゃんとモデルデータを修正した方が良いと思います

「このマッチだけでは長くは持たない」

という説明のため、床に落ちている状態では

内箱がちょっと開けた状態かつ残り二本の状態にした。

残り一本だと「もう箱も燃やした方が良くない?」とか考えてしまうので二本にしている。

マッチ棒

これは上記のフリーモデルに棒のモデルもついてきたので、

同様にMegascansの木目Textureを貼って品質を底上げした。

また、火がついた後に焦がすために

吹雪シーンで使ったPost Processのホワイトアウト処理をコピペして

Component中心に徐々に黒く焦げるような処理を仕込んだ。

細かい所ではあるが、炎で照らされるし画面中心にも近いので

変に気が散らないように対応した。

マッチ炎

マッチみたいな小さい炎のVFXあったかなぁと思って

以前配布されてたM5 VFX Vol2. Fire and Flamesを見てみると、

蝋燭の炎エフェクトがあったのでこれを使う事にした。

蝋燭の火と横向きにしたマッチの火では形が異なるので、

ビルボードを台形に変形した。

とか凝りだすと、炎の色とか大きさとかいろいろキリが無い事に気づき

「リアルマッチだと違うかもしれんが、アンリアルマッチはこういう火が出る」

という事で切り上げた。

マッチ着火

マテリアルデザイン入門で見た

World Position Offsetを使った変形で火球が作れた。

これをダイナミックに変形させて

最後に上記の安定した炎にフェードさせればいいかなと思ったんだけど…

調整が難しい。

そもそもマッチこする動きがでかすぎて画面外に行っちゃうし、

Point Lightを一瞬明るくするだけでそれっぽくなったのであきらめた。

Post Process

火がついた辺りから、手元に集中してもらうためにVignette効果を徐々に強めて

さらに炎の温かみの為にExposureも調整して周囲を暗くした。

副次的に、今にも死にそうな感じも出た…かも。

Polar Sci-Fi Facilityのサンプルマップに

最初からLens FlareとかDirt Maskとかが入ってた様で、

暗くするだけで意図せずなんかいい感じになった。ありがたや…

こういうのが毎月無料配布されるんだから、UE Marketplaceから目が離せない!(Direct Marketplace)

手の演技

「箱からマッチを取り出し、箱を閉じる」

とかいう超複雑な表現は難しすぎるし、作劇上重要でもないので

まるっとカットしてFPSで武器を持ち替えた時みたいな動きにした。

マッチ箱を持ってる時に手が震えて寒そうに見えるが

完全に偶然の産物で、たぶんトラッキング精度とTake RecorderのFPS設定の問題な気がする。

マッチ棒の持ち方は

「最初からこういう持ち方したら折れるやん」

という感じで気が散るよなぁと思いつつも、自然に持ちかえる動きを作る時間もないし

「アンリアルマッチなら折れません」という商品アピールという事にした。

マッチ箱と棒を持つ指の形は

まずSkeleton EditorでAttach用のSocketを追加し、そのままSocketと指の姿勢を整えて

Animation Sequenceとして保存した。

それをSequencerのAnimation Trackで指定することで、

Quest2の位置追跡と指形状指定を両立させている。

火がついた後は、一瞬だけど生き返った~という感情の表現の為に

尺の限りじわっとした動きで手をにぎにぎさせた。

演技撮影のページでも書いたが、

この動きは指の開閉を制御するControl RigのパラメータをSequencerから制御している。

さらに手の位置と回転もSequencerで制御。

プレビューしながら演技をつけるのが非常に楽で助かった。

顔が見えない分は手で表情を語る事が出来た…

とか書こうとしたがもともとグレイマンに表情は無い気もする。

最近表情が見えるようになってきた気もする(不定の狂気)。

マッチを取り出す演技は完全カットだが、

紙をガサゴソする音をいれて、いま取り出してます感を補強した。

これもGameAudioGDCからで、紙をいじくる音をいくつか組み合わせて使っている。

マッチをこすって点火する音もGameAudioGDCから。なんでもあるな!

つけ始めの燃焼音が短めの音を選んだ。

反省

マッチ箱に凝るのはいいけど、見つけるシーンでは暗いし遠いしでロクに見えない!

セリフと続きの映像がないとマッチ箱という事すらわからん気がする。

ちょっと変かもしれないが、二度見の後にズームを入れても良かったかもしれない。

マッチの炎は、凝るならFluid Ninjaを使うとか、

NiagaraのSimulation Stageを頑張るとかで

煙も含めた表現ができるようになるかもしれない。

でも短期間で習得するのは難しそうだ…

「ぬくもり」感につながる演出として、

手についた雪がマッチの熱で溶ける表現をやりたかった。

Dissolveマテリアルの応用でたぶんそれっぽくいけたんじゃないかなという気はするが、

溶けた雪が水になって垂れるとか濡れるとかまでやらないと多分変に見えるので

これも時間の都合でカット。

Post Processにおいては、カラーグレーディングとか自分では一切やってない(サンプルマップのまま)。

おそらく屋内は寒々しい調整になっているはずなので、

これも調整すれば序盤の寒さや点火後の温かみをより表現できたかもしれない。

また、死にそうな視界になったのはいいが、逆にその場面に至るまでは視界が明瞭すぎる。

もっと手前から死にそうな感じを仕込まなくてはいけない気がする。

雑談

オチに繋がるタメの部分なので、

このシーンに関連する作業については時間を大目に配分した分、

記事も長くなってしまった。

シーン別に記事が別れたのは大体ここのせい。

以上