概要

  • ゲームの大枠が決まるまでの話

  • Designing with Constraints

  • の為に十分なFinding the Constraints

前回まで

前回は以下のことが決まりました。

  • 組み合わせで性能が変わる合体ロボのゲーム

  • 街を作ったりトラブルから守ったりする

  • ロボの手はたぶん3つまで

  • ロボの足は4つまで(ホッピング、歩き、トライク、ヘリ)

宿題は以下の2点でした。

  • 火事やら地震やらネタは出たが、結局何が起きるのか

  • ロボはどういう機能でそれに対応するのか

今回はこれについて解決していきます。

ロボの仕事を決める

地震、台風、火事、火山といったトラブルシュート系ネタと

道路敷設、建物建築といったクリエーション系ネタが上がっていますが、

これらの中から実際にロボにやらせることを選ばなくてはなりません。

項目別に評価してみる

いくつかの軸で、個々のネタを評価していきました。

  • 親近性

    • 起こっている事がわかりやすいか、対策が納得いくか

      • 「火事を消せ」→わかりやすい

      • 「地震を踏み潰す」「台風に体当たり」→そうはならんやろ

  • 新奇性

    • 見たことないような事が起きたり、起こしたりするか

      • 「地震を踏み潰す」「台風に体当たり」→確かにやった事はないわ

      • 「火事を消せ」→もう見た

  • 遊戯者的やってみたさ

    • 自分の操作や作戦でなんか凄いことが起こって欲しい

      • やっぱりバトルしたいぜ!等

  • 制作者的やってみたさ

    • 作ってみたいとか勉強したいとか

      • Niagara勉強したいなあ

  • 実装可能性

    • ロボの課題と解決を含めて、表現が期間内に実装できるか

      • 「火事と水」→パーティクルとマテリアルで簡易な表現なら?

      • 「地震を踏み潰す」→カメラシェイクと頂点変形とジャンプ?

      • 「台風に体当たり」→台風ロボに対してデカすぎるし、竜巻に逆回転しながら突進するとかでなんとか?

そして行き詰まりました。

全部やりてえ。

何だったんだこの時間。

一応、評価そのものが完全に無駄だったわけでもありません。

例えばネタの一つとしてあった「渋滞」は

巨大ロボでわざわざ渋滞を解決するゲームとか好きだなぁと思いつつも

車の挙動やらなんやら手間がめちゃ増えるので、

やりたいけどまぁ優先度は低いとわかったりしました。

優先度はつくのだけど

まだ決めることができない。

ただ、このあたりから、

「どう転んでもこれは必要」

という案件も見えてきていました。

街の動的生成、ロボの移動処理などです。

これらを作りつつ、

日常のスキマ時間にどうしようか悩んでいた所、意外な所から進みました。

制約を見出す

「そういえば合体ロボだけど、合体パーツどうしよう」

「戦闘機風のマシンが合体したり分離したりする感じかな」

「腕と足が合計4で、頭が1つだから五身合体かな」

「5体なら戦隊カラーかな」

「担当の能力は色のイメージに近いのがいいな」

という所から、先述の優先度と付き合わせて

どうにか決まっていきました。

  • 赤はファイアーとかビーム

    • バトルがほしいので、敵を倒す能力にしよう

      • ファイアーにすると街に火をつけたくなるのでレーザーにしよう

      • 真横にレーザーうつと街に当たるし、敵は空から来ることにするか

        • UFOだな!

  • 青はやっぱり水

    • わかりやすさが強い消火活動にしよう

  • 黒はハンマーとかドリル

    • 荒れ地をハンマーで均すとか

    • いや、やっぱりロボだからドリルだな

      • 邪魔な岩を配置して壊せることにしよう

  • 緑は緑化とか治療

    • 街の自動生成と緑化があまり相性良くなさそう

      • ビルが緑化されていくのもなんか変な気もする

    • 侵略者が出てくることは決まったから、攻撃されたものを回復する方向で良さそう

      • 人間が出てくると制御が大変だから、敵の攻撃対象は建物にしよう

        • 緑は傷ついた建物を修理できることにしよう

  • 黄は道路工事とか建築

    • シティビルドのニョキニョキタイムを自分でやれる感じで

これでなんとか、

「常に建設を求められつつ、あれこれ起こるトラブルに効率よく対応する」

という形になりそうです。

すんなり決まったように見えますが

締切が押してきているので決めないといけなかった部分も多分にあります。

締切駆動開発はやはりつよい。こわい。

まだまだ決まってない事も山盛りですが、

大枠は決まったので、いったんここで区切ります。

反省

問題の洗い出しが足りない

「合体マシンをどうするか」

はもっと手前に洗い出せたはずで、

先にわかっていれば変に分析とかしなくて済んだ気がします。

順番が前後しただけかもしれませんが、

要件がしっかり並んでいれば思考もまた変わっただろうという気はします。

能力とトラブルが一対一すぎ

遊びの広がりがなくて寂しい気がします。

ゼルダのアイテムみたいに、組み合わせたりできると良いのかもしれません。

「レーザーでも岩を溶かせるけど冷めるまでなんも建たない」

「ホッパーでジャンプしてドリルでUFOを倒す」

みたいな事を考えたりもしました。

企画の根底が合体ロボなので、

能力もなんか合体して色々できると面白かったのかもしれません。

Besiegeみたいですが、火と水を同時に発射すると蒸発で噴進できるとか。

楽しそうだけど、期間内には作り切れない気もするなぁ・・・

「合成で性能が変わる能力」

というコンセプトから出発するべきだったのかもしれません。

地震のもとを踏み潰す、というのが出発点にあったので

「ホッピングやトライク形態で荒れ地を慣らしてから建築」

といった様に、足の状態も絡めようかと思ったのですが

ルールを考えるのも遊ぶのも複雑になりすぎるかな~と思ってやめたのですが、

これもまだ練りきれていないかなと思います。

とか言ってると一生完成しないので

やはり締め切りは正義。

まとめ

「ビームで敵を倒したり建物を建てたり

 水で火事を消したり建物を修理したり岩を砕けるけど

 いっぺんに全部はできないので

 その時々の状況に応じて合体で組み替えて解決するロボのゲーム」

になりました。

なげえ。

振り返ってみると、

「制約を見つけたときに進んでいる」

という印象です。

合体パーツ数は入力機器の制約で決まり、

ロボの性能は色の制約で決まりました。

仕様を決めきれない場合は

まだ見えていない制約を見つけるのがいいかもしれません。

…などと、うまい事を言ってみましたが、

Into the Breach Design Postmortemでも言われている事なので

ようやく片鱗が実感できた、といった所でしょうか。

そして、一つ決めたときに

連鎖的に色々決まっては行きますが、

このときに浮かれず、

「決まったことで発生する新たな制約」

を冷静に洗い出すことが重要だなと感じました。

限られた時間(手数)で、どんなカードが配られているか見出し、

できるだけ点数が高い役を作るゲームなんですね。難しい!


以上