データベースはただの空箱
最近,”100歳を超えるお年寄りが健在なのか否か不明”と言った内容の記事が報道されている.話題になるたびに,関係者は「縦割り行政の弊害」,「横の繋がりが無い」,「個人情報のため手が出せない」等の言い訳をしている.
果たして,それは正解だろうか?
私は,管理者の勉強不足,怠慢に起因すると思っている.典型的な例として年金不払い問題を挙げることができる.当時の首相は,高性能コンピュータで処理するから半年で解決すると言っていた.周囲が言わせたのかもしれないが,そのような発言例は枚挙に暇がない.
「コンピュータで処理する」原理を理解していればそのような発言はできないはずだ.基になるデータベース,データベースの基になるデータ,その基になる 紙ベースの書類データがいい加減であることが問題になっているのだから,人の処理能力がボトルネックのはずである.入力データが揃っていれば,コンピュー タは瞬時に答えを出してくれる.
指導層に居る人は,いろいろな会合でITのメリットを聴かされ,キーワード的な表面的知識を持っている.さっそく部下にシステムの導入を検討させる.さっそく会議が開かれるが,議論の結果,業者委託の線で結論が出る.
具体的な例を挙げよう.国立大学に勤務している時,学生の試験成績をコンピュータで管理することになった.当時,学内LANも整備され,殆どの教員がパ ソコンを所有していたので,授業担当教員が直接成績を入力するものと思っていた.ところが,事務からの指示は,意外なものであった.◯月△日までに所定の 書類に書き込み提出しろというものであった.締切日厳守と言うので,その理由を問い合わせると入力は業者に委託するとのことであった.結局,コンピュータ 処理というのは清書,合計処理,成績証明のためということが判った.業者委託したデータをどう使うかの発想もなかったようである.それでも◯◯大学は成績 処理をIT化したということになるのである.
コンピュータを利用したことのない上層部(指導層)が耳学で実施したシステムが成功した例は殆どない.上層部がコンピュータを知らないため,操作は若い世代に任せざるを得ない.そのため.金融機関ではいろいろな不祥事が生じている.
委託された業者は,「それにしても知らなさ過ぎる,ここまで業者に任せてよいのか」と噂していると聞いたことがある.
2010/8/21の朝日新聞に,「なぜ逮捕?ネット・専門家が疑問も 図書館アクセス問題」という記事があった.ある男性が岡崎図書館にアクセスし逮捕された問題に関して,図書館側の業者任せ,警察のIT知識不足が招いた不祥事?と指摘している.
(平成22年8月22日)