68. タイリクアカネ

Sympetrum striolatum imitoides Bartenev, 1919

【形態】

  • ♂♀ともに翅の基部および前縁は薄い橙黄色.体色は未熟なうちは♂♀ともに。♂は成熟すると胸部は褐色となり,腹部背面は赤くなる.♀も成熟すると腹部背面が赤くなる個体がいる.同属他種とは,体が大型なこと,胸部第一側縫線上の黒条が細く短いこと,♂♀ともに翅が全体的に橙色になることなどから区別される.

【生息環境】

  • 平地から丘陵地の水面の開けた池沼.島嶼部の小規模なため池で発生することもある.県下では小学校のプールから大量発生した事例も報告されている.

【生態】

  • 成熟♂は水面付近の植物などに静止して縄張りをもつ.産卵は連結した状態で水面を飛び回り,主に沖合の水面上に打水産卵を行う.♀が単独で産卵を行うこともある.松山市における観察では,オオキトンボの産卵時期の後期から本種の産卵が始まる.

【分布】

  • 北海道・本州・四国・九州;朝鮮半島,中国,ロシア.

【県内分布記録】

  • 四国中央市,新居浜市,西条市,越智郡上島町,今治市,松山市,東温市,上浮穴郡久万高原町,伊予郡砥部町,伊予郡松前町,伊予市,喜多郡内子町,大洲市,西予市,宇和島市,南宇和郡愛南町.

【備考】

  • 和名は,朝鮮半島や中国など大陸にも分布することに因む.県内では広く分布すが局所的.

【引用文献】


愛媛県の分布図



発生消長図



成虫





幼虫