大型のサナエトンボの仲間.体色は♂♀ともに黄色地に黒の条斑がある.サナエトンボ科に含まれる種は色彩が成熟後もほとんど変化しない.腹部第8節がウチワ上に広がり,特に♂において著しい.また,この拡大部と腿節に黄斑紋をもつことで同属のタイワンウチワヤンマと区別される.
平地から丘陵地の比較的大きく水面の開けた遠浅なため池.
成熟♂は水面から突き出た植物や杭の上に静止して縄張りをもつ.産卵は♀単独で行われ,腹端で水面の浮遊物を間欠的に打ちながら行われる.幼虫は羽化直前まで深い地点で生活しているようで,滅多に見ることはない.
本州・四国・九州;朝鮮半島,台湾,中国,ロシア,東南アジア.
四国中央市,新居浜市,西条市,越智郡上島町,今治市,松山市,東温市,伊予市,喜多郡内子町,宇和島市,南宇和郡愛南町.
腹部第8節にあるウチワ状の突起が和名の由来.県内では似たような環境に棲んでいるタイワンウチワヤンマの分布拡大に伴って生息地を追いやられたことで激減したとも言われている.
松山市内 2013年6月21日 武智礼央撮影