31. マルタンヤンマ

Anaciaeschna martini (Selys, 1897)

*下の発生消長のグラフでは羽化殻のデータを表示していない。

【形態】

  • オスの体は濃褐色.成熟すると複眼と胸部の斑紋はコバルトブルーになる.翅は羽化後しばらくは透明だが,成熟するにつれて褐色になる.後翅の基部に黒斑ある.♀の体色は褐色の地に黄色の斑紋がある.翅は全体が褐色で,基部は濃褐色.はるか高所を飛んでいてもその翅の色が分かるほどである.

【生態】

  • 成熟♂は林縁を飛んで♀を探すほか,薄暮時には♀とともに谷間の上空を直線的に行ったり来たり飛んでカ類などを捕食する.♀は朝と夕方に単独で挺水植物の組織内に産卵する.

【生息環境】

  • 平地から丘陵地の樹木に囲まれた挺水植物の繁茂した池沼や湿地.

【分布】

  • 本州・四国・九州,奄美;朝鮮半島,台湾,中国,東南アジア,インド.

【県内分布記録】

  • 四国中央市,越智郡上島町,今治市,松山市,東温市,上浮穴郡久万高原町,伊予郡砥部町,伊予市,喜多郡内子町,大洲市,西宇和郡伊方町,西予市,宇和島市,南宇和郡愛南町.

【備考】

  • 成虫を見る機会は少ないが,幼虫は多くの地点から記録されている.

【引用文献】

愛媛県の分布図



発生消長図



成虫

マルタンヤンマ♂静止

高知県内 2011年8月30日 杉村光俊撮影


マルタンヤンマ産卵

鬼北町内 2012年7月1日 平田智法撮影


幼虫

マルタンヤンマ幼虫

東温市 2013年4月29日 武智礼央撮影