以下は、所沢市における被災時の水道・給水状況です。断水する可能性は低そうですが、もし断水すると給水状況は悪そうです。いずれにせよ十分な備蓄をしておけば安心です。
・管路の耐震化率は、17.6%であるが、基幹管路の耐震化率は約75%、耐震適合率は約100%。(令和3年度)(下段資料1)
・全停電時であっても、水道管が損傷しなければ、非常用電源で給水可能。ただし、燃料備蓄は約2日。(下段資料1)
・県水(荒川水系から取水した、さいたま市大久保浄水所(浦和所沢街道が荒川を渡った付近)からの水)が約90%、自己水(地下水)が約10%。県水が被災して届かなくても最低限の対応は可能。
(参考)
・所沢市水道ビジョン
◇ 受水槽
各避難所には、非常用受水槽があり、中富小学校には、30立法メートルの受水槽がある。
(所沢市地域防災計画 令和5年 資料編-76ページ)
1人1日3リットルの水が必要とすると、10,000人日分。中富小を避難所とする中富地区+中富南地区の人口は約6,000人。(1.6日分)
◇ 運搬給水
給水車などで地域に運搬して給水する方法。運搬給水の優先順位は、①重要医療施設(災害拠点病院、透析医療機関等) ②社会福祉施設 ③指定避難所・避難場所等 の順
近隣では、「指定避難場所」(道傍公園、日大、中富小学校など)で応急給水を行うことになっている。しかし、所沢市における指定避難場所は66ヶ所あるのに対して、所有の給水車は4台なので、ほとんど期待できない。(下段資料2)
(1台の容量は、2~4立法メートル。1世帯当たり、10リットルもらえるとして、200~400世帯分。これに対してエステシティの世帯数は約1750世帯。)
(所沢市地域防災計画(令和4年) 3章資料編-75ページ「1.応急給水用資機材の内訳」を見ると給水車は 8台とも見れるが、実際は4台であることを水道局に確認した。)
◇ 拠点給水
応急給水施設で給水する方法。
大都市における被災時には、給水車で対応するのは難しいので(給水車の容量が小さい、被災後の道路事情が不安)、全国的には、給水施設を災害時に開放したり、避難所となる小中学校などに貯水槽を設置する拠点給水を行うことが進められている。
例えば、東京都では、人口1400万人に対して給水車は30台しか保有していない。重要施設を対象としたもので、一般住民を対象とした者でないことは明らかと思える。これに対して給水拠点は、約200ヶ所(半径2km以内に1ヶ所配置)されており、また、給水容量も、1人1日当たり3リットルで計算すると、都民の3週間分以上に相当する飲料水が確保されている。(東京都水道局>くらしと水道>災害への備え)
所沢市も同様な方針と考えられるが、エステシティ近隣では、所沢市民文化センター(ミューズ)、所沢航空記念公園に耐震性貯水槽が設置されている。(資料3)
ただし、容量は、全市合計で840㎥(840t)で、1日分3Lで割ると、約30万人分。所沢市の人口が約34万人なので、小中学校の受水槽の備蓄と合わせると、約1日分の備蓄がなされていることになる。
東京都の3週間分の備蓄と比べると不安があるかもしれないが、基幹管路の耐震化が進んでいるので(約75%;全国平均26%)、基幹管路から応急給水が行われるなら給水拠点まで行く必要もなく、かなり安心。
資料1:所沢市の水道の防災対策
資料2:所沢市の給水車数
資料3:耐震性貯水槽
2025.8.24