エステシティには上図のように所沢市の指定避難場所が2ヶ所あり、それぞれに市の防災備蓄倉庫が備えられています。各倉庫にはアルファ米が500食備蓄されており(所沢市防災ガイド平成31年 p.9)、合計1000食備蓄されています。
1000食というと多いように思えますが、エステシティの住民数は約4000名ですから、一人一食もありません。つまり、住民全員を対象とした備蓄ではないことがわかります。
したがって、備蓄倉庫の食料の配布対象は、災害弱者(要介護者、傷病人、保護者不在の子ども、帰宅困難者(地域外の人)など)が優先されます。一般のエステシティ住民への配布は期待できません。
炊き出しは中富小学校で行われますが、いつから、どの程度の量かは不明で、多くは期待できません。
エステシティ内の市の防災備蓄倉庫には水は備蓄されていません。したがって、飲料水は中富小学校までいかないと入手できません。
(注:道傍公園に給水車は来ることにはなっていますが、ほとんど期待できません)
中富小学校の受水槽は30立方メートルなので、一人当たり1回10L供給すると、中富地区住民と合わせて3000人分が供給されます。詳細は、[ 給水事情 ] を参照ください。
道端公園の水は井戸水をくみ上げているので、停電でなければ使える可能性があります。また、カルチャーパークの管理事務所付近に人力でくみ上げる井戸があります。
注:飲料には適しません。
このような公的備蓄の少なさは所沢市特有のものではありません。全国的に、「自宅が被災した、もしくは危険が迫っていて、避難所に避難せざるを得ない人」の数を想定し、その人数に基づいて公的備蓄量は決められているようです。内閣府のホームページによれば、「港区では、食糧は、自宅が被災して避難所に避難せざるを得ない人の想定人数に基づき算定した2日分を備蓄」とされています。
例えば、津波や土砂災害が想定され、住民全体が避難せざるを得ない状況が想定される場所では、住民全体分の備蓄がなされています。
これに対して、エステシティは自宅が安全で、「避難せざるを得ない人」は少数、と所沢市は考えているので、少ない備蓄量になっています。
防災会も、「所沢市に、備蓄量を増やすように交渉しろ」と、お叱りを受けることがありますが、この全国的な方針(在宅避難者は、食料・水を自己責任で用意する)を変えないと備蓄の増加は難しいようです。
※ 近年、在宅避難者への食糧支援の動きも出てきましたが、まだまだ供給は不十分です。
炊き出しや給水が始まっても、食料や水を求める人が殺到し、それを手に入れるためには長時間並ばなければならないかもしれません。寒中、猛暑、雨天ですと体調を崩しかねません。
日立市役所の給水所で水を求める人の長蛇の列。何人いるか見当もつかない。(東日本大震災)
雨の中で炊き出しを待つ傘の長い列(熊本地震時の益城町の総合体育館)
2025.8.24