分詞構文をどう効果的に使ったらよいか、について説明しています。
分詞構文って何?
分詞構文を使うと、語数を使わず情報を付け加えることができます。簡潔な表現で詳細な情報を伝えることができるので、紙面の制限のある新聞やニュース記事で効果的に使うことができます。分詞はing形と過去分詞がありますが、まずはing形の例を見てみましょう。
例:
Listening to music, he cleaned the room.
音楽を聴きながら、彼は部屋を掃除した。
Listening to musicの部分が分詞構文の表現です。
分詞構文は3つの位置に置くことが可能です。ただし、意味によって置くべき位置が変わることがあります(後述)。
文頭
例:
Feeling very tired, he couldn't finish his homework by the deadline.
彼はとても疲れていて、宿題を期限までに終わらせることができなかった。
Running in the park, she saw many people gathering in front of the toilet.
公園を走っていると、トイレの前に大勢の人が集まっているのが見えた。
Studying very hard, he achieved good grades.
彼は一生懸命勉強し、良い成績を収めた。
文中
例:
The children, eating lunch, heard a strange sound.
子供たちは、お弁当を食べていて、不思議な音を聞いた。
Hanako, falling over a stone, hurt her knees.
花子は石の上で転んで膝を痛めた。
The scientist, conducting experiments in the lab, discovered a cure to the disease.
科学者は、研究室で実験をしていて、病気の治療法を発見した。
文末
例:
I grew up watching her.
私は彼女を見て育った
The typhoon hit Kyushu in July 2020, bringing torrential rains.
2020年7月、台風が九州を襲い、豪雨をもたらした。
A plane catches fire at Haneda Airport, killing five people.
羽田空港で飛行機が炎上し、5人が死亡した。
分詞構文は副詞的に説明をします。では副詞とは何でしょうか。以下の例を見てみましょう。
例:
I study English hard every day.
私は毎日一生懸命に英語の勉強をしている。
文中の hard (一生懸命に) や every day (毎日) はどちらもstudy (勉強している) を詳しく説明する言葉になっています。このように「~する」を説明する役割が副詞的な説明です。では、分詞構文の例をもう一度見てみましょう
例:
Listening to music, he cleaned the room.
音楽を聴きながら、彼は部屋を掃除した。
文中の Listening to music (音楽を聴きながら) は、cleaned (掃除した) を詳しく説明する言葉になっていることに気づいたでしょうか。『どのように』『なぜ』などを詳しく説明することが、分詞構文の役割です。
同時(〜していると、〜しながら、~して)
位置は文頭、文中、文末。文の頭から読んでいって、時系列に沿って自然な流れになるように様々な位置に置かれます。
例:
Running in the park, she saw many people gathering in front of the toilet.
公園を走っていると、トイレの前に大勢の人が集まっているのが見えた。
The children, eating lunch, heard a strange sound.
子供たちは、お弁当を食べていて、不思議な音を聞いた。
I grew up watching her.
私は彼女を見て育った
理由(〜なので)
通常、位置は文頭です。あえて『~なので』と意味を解釈しなくてもよく、自然な意味になるなら『~で』『~して』と意味をとらえても問題ありません。
例:
Feeling very tired, he couldn't finish his homework by the deadline.
とても疲れていて、宿題を期限までに終わらせることができなかった。
Studying very hard, he achieved good grades.
彼は一生懸命勉強し、良い成績を収めた。
追加情報(結果)
『そして、その結果〜』という意味になり、情報を付け加えます。位置は必ず文末です。なぜなら、結果は出来事に対して後に起こる内容であるためです。時間経過と文の中身の順番が一致しているのは自然ですね。
例:
A plane catches fire at Haneda Airport, killing five people.
羽田空港で飛行機が炎上し、5人が死亡した。
The plane left Haneda at 17:10, arriving Okinawa at 21:10.
飛行機は羽田を17時10分に出発し、沖縄には21時10分に到着した。
The typhoon hit Kyushu in July 2020, causing serious damage in Kumamoto.
台風は2020年7月に九州を直撃し、熊本に大きな被害をもたらした。
条件
この表現は会話で使われます。「もし〜すれば」という意味で、道案内や指示で使われます。
例:
Turning to the right, you will find the station.
右に曲がると駅がある。
Walking down the street, you can find the cafe.
通りを歩くとカフェがあります。
Going through the tunnel, you will find the snowy area.
トンネルを抜けると、雪のエリアです。
使用条件
分詞構文はいつでも使えるわけではありません。分詞構文は、文脈からその意味が明らかである時のみ使うことができます。なぜなら分詞構文はつねに同じ形(ing形や過去分詞)であるため、文脈から意味が定まらないと曖昧になってしまうからです。
ダメな例:
Swimming, she felt tired.
※ 泳いでいる間なのか(同時)、泳いだからなのか(理由)、疲れを感じたことに対してはっきりしない。
前置詞 / 接続詞との併用
曖昧になってしまうそうな分詞構文の意味を明確にするために、前置詞や接続詞と一緒に使うことができます。
例:
While swimming, she felt tired.
泳ぎながら、彼女は疲れを感じた。
※ while (~しながら) を付け加えることで時間をはっきりさせている。
After finishing the report, he was tired.
レポートを終えた後、彼は疲れていた。
※ After (~の後) を付け加えることで時系列をはっきりさせている。
In reading this book, she found some new information.
この本を読んでいるときに、彼女は新しい情報を見つけた。
※ In ~ing は when (~の時) の意味になる。これを付け加えることで時間をはっきりさせている。
On entering the room, they were surprised.
部屋に入るとたちまち、彼らは驚いた。
※ On ~ing は As soon as (~するとすぐに) の意味になる。これを付け加えることで時間をはっきりさせている。
Because living in a big city, he gets stressed easily.
大都会に住んでいるため、ストレスがたまりやすい。
※ Because (~なので) を付け加えることで理由をはっきりさせている。
By studying hard, he passed the test.
一生懸命勉強したので、彼は試験に合格した。
※ By (~によって) を付け加えることで手段をはっきりさせている。
過去分詞を使った分詞構文は、主に「受け身(〜される)」や「完了(〜してしまう)」の意味を表します。これにより、出来事が完了しているか、受け身の状態を説明します。
受け身の意味(〜されて)
この場合、分詞構文は「〜されている」という受け身の状況を説明します。通常、動作の対象となるものや人が文の主語となります。
例:
Surrounded by mountains, the village has a beautiful view.
山に囲まれて、その村は美しい景色を持っている。
Seen from the mountain, the city looks beautiful.
山から見ると(山から街が見られると)、その街は美しく見える。
完了の意味(〜されてしまって)
過去分詞は、その動作がすでに完了していることを表すこともあります。
例:
Injured in the accident, he was taken to the hospital.
事故で負傷して、彼は病院に運ばれた。
Exhausted by the long hike, they rested by the river.
長いハイキングで疲れ切って、彼らは川のそばで休んだ。
The experiment, conducted by the scientists, led to a major discovery.
実験は、その科学者たちによって行われ、大発見につながった。
注意点
過去分詞の分詞構文は、主語が同じであることが前提です。例えば、Seen from the mountain, the city looks beautiful." という文では、主語は "the city" です。日本語では『見ると』となってしまいますが、街は人々から見られるため英語では受け身になり、過去分詞が使われます。このルールを守らないと、文が曖昧になったり意味が伝わりにくくなります。
誤りの例:
Seeing from the mountain, the city looks beautiful.
※主語はthe cityなので、これだとthe city sees from the mountainの意味になってしまう。
正しい例;
Seen from the mountain, the city looks beautiful.
※ the city is seen from the mountainの受け身になっているので正しい。
分詞構文の使い分けについて説明しました。ニュースや小説などで頻繁に使われる表現です。意味を正確に瞬時につかめるように、使い方を理解しておきましょう。