今の英語力を最大限に発揮できるようにするための、リスニングの時に注意したいポイントを整理しています。リスニングでは、教科書で習う発音とは違うように聞こえることが多々あります。実際の会話と、教科書の発音は違うのです。この違いを知っているか知らないかで、聞き取りやすさが全然違ってきます。これらの音変化に注意するだけで、ぐっと英語が理解しやすくなります。
英語を聞き取るのは難しいです。なぜでしょうか?それは、英語の発音は教科書や単語帳で習ったようには実際の会話では聞こえないことが多いからです。会話では音が変化する例を日本語でまず考えましょう。
これらの漢字はなんと読みますか?
反対:はんたい 因果:いんが
応援:おうえん 縁結び:えんむすび
このように読みますね。
では青の部分を縦に読むとどうなりますか?
反応:はんのう 因縁:いんねん
応(おう)、縁(えん)の読みに注目して下さい。音が変わっていませんか?
この様に、会話では、前の音と後ろの音がくっついて音が変化することがあります。
例:
反応: はん+おう→はんのう、han + ou → han nou
因縁: いん+えん→いんねん、in + en → in nen
これは、出来るだけ口を動かすエネルギーを使わずに、速く話そうとするために起こります。同様のことが英語でも起こります。英語ではかなり頻繁に起こります。そのため、単語一つ一つの発音を教科書で正確に学んで覚えても、実際に英文の中での発音は変わってしまうことがあるのです。
次の漢字はなんと読みますか?
河原
かわら、です。しかし、元の漢字は、河(かわ)と原(はら)です。は、の音が消えてしまっていますね。
以下は、音が消えてしまう例です。
河原:カワ+ハラ→カワラ、 kawa + hara → kawa ra
裸足:ハダカ+アシ→ハダシ、 hadaka + ashi → hada shi
このように、言葉が一緒に使われた時に、音が無くなってしまうこともあります。日本語では珍しい例ですが、英語ではこれが頻繁に起こります。これを意識しておくことで、英語を聞き取るのが少し楽になります。
文の中で、前の単語の音と後ろの単語の音がくっつくなどして、音が変化することを連結(linking)と言います。特に、【子音+母音】の順番の時に連結は起きやすいです。
【子音+母音】の連結例
子音はローマ字でのk, s, t, nなどの文字です。母音はa, i, u, e, oの文字です。実は、【子音+母音】はとても相性がいい組み合わせです。一方、子音のみは発音しにくく不安定な状態です。そのため、くっつこうとするのです。ka(か)sa(さ)など、日本語はほとんどが【子音+母音】のまとまりで発音します。英語も同様に、【子音+母音】の相性の良い状態になろうとする傾向があります。一番馴染みのある例はmy name's (マイネームズ)でしょうか。実は、短縮形もこの連結の影響の結果なのです。他の例を見てみましょう。
【子音+y】の連結例
子音の後にyouがくると、前の子音にyouがくっついて音が大きく変化することがあるので注意です。一番馴染みのある例はdid you(ディジュー)でしょうか。他の例を見てみましょう。
文中で、英単語の最後の音がほとんど聞こえなくなったり、無くなってしまったりすることを脱落(reduction)と言います。英文中において、英単語の末尾のt, d, g, k, p の音の脱落が起きやすいです。よくある例は it です。t の音はあまり聞こえません。
語末のg, d
g, dは息を止めて一気に吐くことで発せられる音です。この音は一度息を止めないと発せられないため、口の動きが大きく制限されます。きちんと発音するのは面倒な音です。そのため、会話ではごくわずかな音になったり消えてしまいやすいです。例を見てみましょう。
語末のt, k, p
t, k, pも息を止めて一気に吐くことで発せられる音です。g, dの音は喉から声が出て喉が震える一方、t, k, pの音は口だけで発するので喉が震えません。例を見てみましょう。
語頭のh
人称代名詞のhe, his, him, she, herのhの音は聞こえなくなることがあります。hの音はかすれる僅かな音なので、簡単に脱落してしまうのです。一番馴染みのあるのは短縮形のI’ve でしょう。haveのhの音も聞こえなくなることが多いです。完了形の短縮形I’veはこのhの音が落ちることの結果です。他の例を見てみましょう。
語中のt
単語の中にあるtの音も聞こえなくなることがあります。tの音は元々脱落しやすい音なのですが、語中でも簡単に脱落してしまうのです。一番馴染みのあるのはoftenでしょう。oftenはtの音を発音してもしなくても良いです。他の例を見てみましょう。
ラップなどで「チェケラ」という言葉を聞いてことがあるでしょうか。実はこれは check it out という英語です。しかし、t の音が変化しており、チェケラと聞こえます。
このように、文中で英単語のt の音が t ではない全く違う音に聞こえることがあります。その時、t の音は、d や r や l などの音に聞こえます。この現象を flap t (フラップT)と言います。英文中において、母音の手前の get got cut not などの短い語の t の音において特にこの現象は起きやすいです。他にも、better water bottle などでも発生します。
t を含む英単語
t の音が変化するパターンには (1) bottle や little のように t の次に le が来ている時、(2) better や water のように t が母音 (a, e, i, o, u )で挟まれている時、があります。bottle は 「ボドル」little は「リドル」のような t が d に近づいた音に聞こえます。better water は、それぞれ「ベラー」「ワラー」のようなt が r に近づいた音に聞こえます。letter は 「レダー」のような t が d に近づいた音に聞こえます。
速く読まれている方では、t の音が変化しています。🔈を選択して、音声を聞いてみてください。
t で終わる短い英単語+母音
t で終わる英単語の次に、母音 ( a, e, i, o, u ) で始まる英単語が来ている時も変化が起こります。I got up late today. は t が d に近づいた音に聞こえます。Where should I put it? は t が l に近づいた音に聞こえます。Not at all は、人の名前みたいに「ノダトール」と聞こえることがあります。
速く読まれている方では、t の音が変化しています。🔈を選択して、音声を聞いてみてください。
音の変化は意識していないと難しいです。慣れるためには、英語を文字を見ながら聞き取る時に音変化を意識する、音読の時に音変化を自分で真似してみることが挙げられます。