今の英語力を最大限に発揮できるようにするための、ライティングの時に注意したいポイントを整理しています。ライティングでは、ただ日本語を英語に訳していればいいわけではありません。これらに注意するだけで、ぐっと英語が書きやすく、分かりやすくなります。
英語の文化においては、最初に結論を言い、後で説明を加えるという順序が重要です。結論が先、は読み手に分かりやすく伝えるためと言われますが、書き手にも利点があります。結論が先にくると、「自分が何を言いたいのか」という目的が明確になります。目的を明確にした上で後に説明をもってくることで、文を書きやすくなります。結論が先、は書き手読み手双方にメリットがあるのです。
次の文章は結論が最後に来ています。下線を引いた文が結論です。最後まで読まないと何が言いたいのか明確になりません。英語ではあまり良くない文章とされます。
英語は様々な国で使われる言語であるため読み手と書き手が共有している知識や理解が少なく、分かりやすく伝える最大限の努力を書き手がする必要があります。そのための方法が結論を先に述べることです。一方、説明から始まる文章は、その説明が一体何のためのものなのか示されていません。そのため、行き先が不明で読み手は筆者の意図を推測する必要に迫られ、戸惑うことも起こります。例えば、起承転結の文章は最後でどんでん返しが待っていることがあります。起承転結は読み手に推測をさせたり、思いもよらない結末で読み手を驚かすことができるのです。
この文の順序だと、一見結論が先、の文章について説明したいように思えてしまいますが、言いたいことは起承転結の構成の特徴です。最後まで読まないと結論が見えないようになっています。
英語での結論が最初に来る文章の例を示しておきます。英語検定試験などではこのような文章を書く必要があります。
Japan is one of the best countries in the world. First, Japan has beautiful nature. People in Japan can enjoy the beauty of the ocean and mountains near their houses. Second, Japan has a high standard of education. Students learn from passionate teachers and are encouraged to continue studying at university. As a result, Japan is an excellent place.
最初の文で日本はベストな国だと言っています。次に、そう思う理由と具体例を書いています。最後に主張を繰り返して締めています。目的がはっきりしていると、書きやすいです。また、説得力のある文章を書くことができます。
以下は易しい文章ですが、自分の主張をしたい場合は、シンプルな内容でも結論が先、の方がやはり分かりやすいです。
My favorite season is autumn. I like apples. Apples are the best in autumn. Also, it's not too hot or not too cold in autumn. It's warm in autumn.
日記などではここまで厳密に書かなくてもいいです。しかし、「◯◯をした」などのテーマになる大まかな内容を最初に書き、次に具体的にしたことの詳細を書くと分かりやすい文章を作ることができます。
書く前に全体の内容を考えましょう。日本語でメモを作っても良いです。日記の場合は、いつ、どこで、何をしたか、誰と一緒だったか、自分の気持ち、等思いつく限りの内容を書き出します。そして、そのアイデアの中から英語で表現できそうな内容を選んで書きます。英語で書きたいのに単語が思いつかない場合は、この時に辞書で調べましょう。英検などの英作文の場合は、結論の候補が複数あります。結論を選ぶ前に、それぞれの結論の候補に対応する根拠や理由をできるだけ書き出してみます。書き出した根拠や理由から自分が英語で表現できそうなものを選びます。残った根拠や理由を見比べ、より説得力のある結論の方を選んで英作文を書き出します。練習する場合は、書き始める前に辞書で単語を調べましょう。
なぜいきなり書き始めてはいけないのでしょうか?いきなり書き始めると、様々な問題にぶつかることが多いからです。例えば、何のために書いているのか目的を見失ったり、書きたい内容を忘れてしまったり、書いてみたら実は書くほど重要ではない内容だったことに気づいて消す羽目になったりなど、悪いことばかり起こります。これがテスト中だと、手が止まると焦ってパニックになり余計に考えがまとまらなくなります。メモを作って全体像を描いてから書き出すことをおすすめします。
英語を書いている時には、日本語で何を書きたいか頭の中にあっても、それを英語に表現できないと感じることが頻繁にあります。そういう時に、辞書を引いて単語を調べるのは一つの手です。しかし、辞書を引いても解決しないことも多々あります。また、テストでは辞書を引くことはできません。そのため、書いている最中は、自分の知っている範囲の単語で何とかする習慣をを付けることも必要です。そんな時に役立つのは、言いたい内容をシンプルな日本語で言い換えてみることです。言い換えることで、英語で表現できることに気づくことがあります。以下では、その方法について説明します。
簡単な日本語に言い換える
「私はレストランの食事を堪能した。」と英語で表現したいと思っても、「堪能した」なんていう難しい言葉を英語でなんと表現したらいいかなんて習ってはいませんね。また、「食事」をなんと言ったらいいかも分からないかもしれません。しかし、ここで諦めないでください。難しい日本語を使っている時にはそれをもっと簡単な日本語で言い換えてみましょう。堪能したという状況を思い浮かべると、食べて満足した、ということですね。満足した、もちょっと難しいですね。その状況を普段自分が使うような言葉で言い換えてみましょう。例えば、「食事を堪能した」を「食事を楽しんだ」と言い換えてみてはどうでしょうか。「楽しむ」はenjoyで言えます。「食事」は、食べ物のことですから、I enjoyed the food at the restaurant. とほら、英語で表現できましたね。
このように、ライティングの時はシンプルな単語を使って下さい。高校生2年生だったら、中学生〜高校1年までで習うものの中で簡単な単語を使って書いてください。あえて難しい単語を使おうとする必要はありません。それは、習った単語全てをライティングで使えるようになる必要がないからです。それは無謀な目標です。知っている語彙は、聞いたり読んだりするための「理解できる語彙」と、書いたり話したりするための「使える語彙」に分けられます。「理解できる語彙」よりも、実際に自分が表現するのに「使える語彙」はどうしても少ないです。日本語でいうと、読める漢字は多くても、書ける漢字はそれより少ないのと同じです。読めればいい単語をわざわざハードルを上げて使えるようになる必要はないのです。
視点を変えて言い換える
「私はレストランの食事を堪能した。」をさらに別の視点で言い換えてみましょう。堪能したということは要するに、食べて満足した、ということでした。ここで「満足した」に対応する英語が思いつかなくて詰まってしまった場合は、この状況を別の視点で言い換えてみましょう。「堪能した」ということは、食べた食事の味はどうだったでしょうか。きっと、「美味しい」はずですね。そして、これならI ate delicious food at the restaurant. と英語で表現できますね。
抽象度を変えて言い換える
「私はレストランの食事を堪能した。」をまた別のやり方で言い換えてみましょう。「堪能した」ということは、食べた食事の味は「美味しい」ものだったと考えたとします。しかし、食事が英語で思いつかなかった場合は文が完成しなくなってしまいます。
ここで、食事を言い換えてみましょう。食事というと漠然としていますが、具体的には何を食べたのでしょうか。もしハンバーガーを食べたのなら、I ate a delicious hamburger at the restaurant. と言えば良さそうです。ハンバーガーのスペルが分からなかったら?では、そのハンバーガーはいつ食べたのでしょうか。もしお昼に食べたのならそれは昼食 (lunch) ですよね。そうです、I ate delicious lunch at the restaurant. と英語で表現できましたね。次の緑色のピラミッドを見て下さい。上に行くほど抽象的、下に行くほど具体的な言葉が並びます。このように具体的な内容で言い換えたり、逆にもっと漠然とした言葉で言い換えて乗り切ったりする事も考えられます。
2つの文で言い換える
「私はレストランの食事を堪能した。」をまた別のやり方で言い換えてみましょう。「堪能した」ということは、食事を「食べ」て、その食事の味は「良かった」ものだったと考えます。すると「堪能した」を言えなくても、「食べた」「良かった」の2つの要素を入れて、I ate dinner at the restaurant. It was good. と言いたい内容の要素を2つの文で分けて表現することができます。
誰が何をしたのか、「人」を主語で表現する
「彼女の言っていることは支離滅裂だった。」この文を英語にそのまま訳そうとすると、A is B. の形でbe動詞で結ぶことになります。しかし、「彼女の言っていること」「支離滅裂」という2つの名詞句を表す英語を知らないと訳せません。名詞句にすると英語の表現は難しくなりがちです。そういう時はbe動詞で結ぶのではなく、人を主語にして表現してみましょう。この言い方のほうが基本的な表現で馴染みがあるから簡単です。「支離滅裂」とは、「内容がばらばらで矛盾していること」で、その結果「理解ができない」ことになります。「支離滅裂だった」と思ったのは自分だとします。そうならば、「彼女の言っていることを私は理解できなかった」と人を主語にして、I didn't understand her. またはI couldn't understand her. と表現できます、人を主語にして動作(この場合は結果)で表現しています。
肯定文で書く
否定文は実は曖昧な表現です。例えば、「好きではない」と言うとはぐらかすような言い方になります。また、「同じ国出身ではない人」と否定表現を使うよりも、「別の国出身の人」と肯定表現で言い切れる言い方を探したほうが伝わりやすいです。勿論曖昧に表現する必要のある時もあります。しかし、そうでない時は言いたいことが明確で分かりやすくなるように肯定文でできるだけ書くようにしましょう。
英語を書く際には、(1)結論をまず書く、(2)書き出す前にメモを作る、(3)困ったら言い換える、の3つのポイントを意識しましょう。結論をまず先に書くことで分かりやすい文章になり、具体例を続けやすくなります。メモは頭の中のアイデアを整理し、書く段階で書くことに集中することができます。困ったら伝えたい内容を簡単な言葉で言い換えたり、視点や抽象度を変えて言い換えたりしてみましょう。これらのことを意識するだけで、ぐっと英語が書きやすくなるはずです。