三単現の s や複数形を作る際には、語尾が y で終わる英単語の場合、 y を i に変える必要が出てくることがあります。なぜ y を i に書き換える必要があるのでしょうか。
英語には語形変化があります。語形変化とは、英単語に s や es などが付くことです。そして、語形変化にはやや複雑なルールがあります。以下は、 s の付け方のルールです。
① 英単語の後ろに s をつける
例:
like + s → likes
use + s → uses
write + s → writes
pen + s → pens
student + s → students
② 語尾が o, s, ch, sh, x のときは es をつける
例:
teach + s → teaches
go + s → goes
push + s → pushes
box + s → boxes
bus + s → buses
③ 語尾がy(かつその前の文字がa,i,u,e,o以外)のときはyを消してiesをつける
例:
study + s → studies
carry + s → carries
try + s → tries
family + s → families
country + s → countries
lady + s → ladies
play + s → plays ※そのまま
enjoy + s → enjoys ※そのまま
語形変化の際には、語尾が y で終わる英単語の場合、 y を i に変える必要が出てくることがあります。なぜ y を i に書き換える必要があるのでしょうか。
これには、 y の文字の英単語での位置が影響していると考えられます。
y の文字の位置は?
y の文字を含む英単語をいくつか挙げてみると、(1)語尾に y が付くもの、(2)語中で2文字目に y が付くもの、があることが分かります。つまり、y の位置にはある程度の制限があるのです。語末に近い位置に y が登場することはほとんどありません。この制限があるために、y → i に変えていることが推測できます。
語末の y の例:
city
candy
hobby
baby
body
country
lady
story
fly
shy
sky
heavy
busy
easy
sunny
funny
windy
cloudy
copy
語中の y の例:
type
cycle
cycling
dynamic
bye
cyber
hyper
hypnosis
typical
gym
しかし、このままでは疑問に全て答えてはいません。なぜなら、yをなぜ i に変えているのか、なぜ es なのか、が不明のままだからです。これは次の英語を見てもらえると、理由が察しが付きます。
例:
die (死ぬ)
dying (死にかけている)
die の ing形を作るときには、ie → y に変える必要があります。実は、これは先程の語中の y と同じ理屈のためです。ingがついて「アイ」という音が語中になったので、y で綴っているのです。そして、この時には ie → y となっています。つまり、y → i ではなく、 y → ie と書き換えているというのが本当なのです。
ie が y と交換可能な同じ音であることは人名の綴りからも分かります。
例:
Bobの愛称は、Bobby (ボビー) または Bobbie (ボビー)
Edwardの愛称は、Eddy (エディー) または Eddie (エディー)
James の愛称は、Jimmy (ジミー) または Jimmie (ジミー)
ie と y が交換可能な綴りであることは、同じ発音で様々な綴りの人名があることからも分かります。
語尾が y で終わる英単語に s (es) を付ける時には y を i に変える必要がある一方、ing形を作る時には、y の書き換えはありません。例えば、study のing形は studying となります。なぜでしょうか。
それは、母音の連続を避けるためです。studying を studieing と綴ってしまうと、非常に読みづらくなります。逆に、読みにくさを防ぐために、die (死ぬ) や lie (嘘をつく) の ing形 を作る時には、dying や lying と「ie → y 」へ書き換えています。
y → i に書き換える理由を説明しました。また、なぜ es を付けなければならないかの理由も説明しました。学校では、覚えやすいように『 yを i に変えて es 』と呪文のように教えられますが、綴りの関係からは必ずしも適切ではありません。これを知っていると、間違いが少なくなるかも知れません。