比較級・最上級の表現で必要となる、 er/est と more/most の使い分けについて説明しています。
比較級で er や more を使う
2つのものや人を比べる表現が比較級です。
例:
Tom is taller than Ken.
トムはケンより背が高い。
Ken is older than Nao.
ケンはナオより年上だ。
History is more interesting than math.
歴史は数学よりも面白い。
比較級では、【形容詞er than 】または 【 more 形容詞 than 】を使っています。
最上級で est やmost を使う
3つ以上のものや、人々の中で1番のものを説明する表現が最上級です。
例:
Nao is the smallest of the three.
ナオは1番小さい。
English is the most difficult of all subjects.
英語は全ての教科の中で一番難しい。
最上級では、【 the 形容詞est 】または 【 the most 形容詞 】を使っています。これらのときに、er/est を使うのか、more/most を使うのか、判断する必要が出てきます。
比較・最上級の表現を使いたいときに、形容詞・副詞はどちらで変化させたら良いのでしょうか?判断の基準として、『短い形容詞・副詞は er/est で、長い形容詞・副詞は more/most を使う』『音節の数が3以上なら more/most を使う』などと説明されることが多いです。しかし、単語の長さと言っても何文字以上なのかは書かれておらず曖昧です。また、音節は辞書を引かないと数が分かりにくいです。そこでここでは、辞書を引かずに英単語を見ただけで、『大まかに er/est のパターンを使うべきなのか、 more/most のパターンを使うべきなのか』を判断できる方法を説明します。
連続する母音の数が3箇所以上なら more/most
er/est のパターンなのか more/most のパターンなのかを簡単に判断する方法は、形容詞・副詞の連続する母音の箇所を数える方法です。3カ所以上ならmore/mostになります。例えば、important(重要だ、大切だ)という形容詞の連続する母音の数を数えましょう。母音とは、a, i, u, e, o の文字のことです。また、母音を発音する時には顎(あご)が上下します。そのため、手を顎に当てて発音してみて、手に当たった回数が連続する母音の数です。3回以上当たったら、more/mostを使えばよいと判断しましょう。
例:
important (重要な)
赤で示した文字が母音です。すると、3カ所あることが分かりました。判断する方法は、『連続する母音の数が3箇所以上なら more/most 』です。よくある説明で『形容詞が長いなら more/most』というのは、この母音の箇所が多いことを説明しているのです。
他の例ではどうでしょうか。beautiful(美しい)という形容詞について考えてみましょう。
例:
beautiful
赤で示した文字が母音です。すると、3カ所( eau, i, u )あることが分かりました。eauは連続しているので、一カ所と数えて下さい。beautifulも、more/mostのパターンです。
連続する母音の数が1箇所なら er/est
er/est のパターンなのか more/most のパターンなのかを簡単に判断する方法は、形容詞・副詞の連続する母音の箇所を数える方法です。1カ所ならer/estになります。例えば、tall(背や高さが高い)という形容詞の連続する母音の数を数えましょう。母音とは、a, i, u, e, o の文字のことです。また、母音を発音する時には顎(あご)が上下します。そのため、手を顎に当てて発音してみて、手に当たった回数が連続する母音の数です。1回だけ当たったら、er/estを使えばよいと判断しましょう。
例:
tall → taller
赤で示した文字が母音です。すると、1カ所あることが分かりました。判断する方法は、『連続する母音の数が1箇所なら er/est 』です。よくある説明で『形容詞が短いなら er/est』というのは、この母音の箇所が少ないことを説明しているのです。
他の例ではどうでしょうか。young(若い)、cute(かわいい)という形容詞について考えてみましょう。
例:
young → younger
cute → cuter
赤で示した文字が母音です。すると、それぞれ1カ所あることが分かりました。youngのouは連続しているので、一カ所と数えて下さい。cuteの最後のeは発音しないe、【サイレントe】ですので、カウントしません。すると、er/estのパターンだと分かります。
連続する母音の数が2箇所でyで終わるなら er/est
連続する母音の箇所が2カ所でも、yで終わるものは er/est になります。この時、【子音+ y 】で終わるものは、y を i に書き換えます。
例:
busy (忙しい) → busier
happy (うれしい) → happier
easy (簡単な) → easier
pretty (かわいい) → prettier
healthy (健康な) → healthier
heavy (重い) → heavier
funny (笑える) → funnier
early (早い) → earlier
長い英単語だとer/estを付けて発音するのが長くて言いにくいだかと考えられます。例えば、importanter* は息が切れてしまってかなり言いにくそうですよね(*はこういう英語は存在しないの意味)。元々の英単語が短いなら、tallerと少し長くなっても息切れせずに言うことが出来ます。
fun(楽しい)は母音が1箇所だけですが、funner* funnest*とは基本的には言いません。言うとしたらmore fun やmost funです。funは元々の英単語は形容詞ではなく、名詞です。形容詞は誤用だという人もいます。そのため、短くてもer/estに当てはまらないようです。
母音の数を数えても数とパターンが一致しない例外もあります。
more/mostになる英単語の末尾
ful, ing, edで終わる形容詞、lyで終わる副詞に関しては、母音の箇所が多くても少なくてもmore/mostのパターンを使います。なぜなら、er/estを付けるのは言いにくいからです。
例:
useful (役に立つ) → more useful
careful (注意深い) → more careful
helpful (助けになる) → more helpful
boring ([もの・人が] 退屈な) → more boring
tiring ([もの・人が] うんざりするような、疲れさせるような) → more tiring
amazing (驚くほどの、すごい) → more amazing
bored ([人が] 退屈した) → more bored
tired ([人が] 疲れた) → more tired
slowly (ゆっくり) → more slowly
easily (簡単に) → more easily
heavily (重く) → more heavily
ただし、early(早く)という副詞は例外です。earlier-earliest のパターンです。他の副詞は【形容詞+ly】で出来ているのに対して、earlyは形容詞でも副詞でも同じ形だからだと思われます。
母音が2箇所の英単語
母音が2箇所の形容詞や副詞は、多くはer/estです。しかし、more/mostのものもあったり両方が使われていたりと、例外的なものが多いです。最終的には、覚えるしかありません。
er/estになる例:
simple (シンプルな、簡単な) → simpler
quiet (静かな) → quieter
gentle (優しい) → gentler
more/mostになる例:
famous (有名な) → more famous
polite (礼儀正しい) → more polite
common (一般的な) → more common
pleasant (喜んだ) → more pleasant
sincere (誠実な) → more sincere
slender (細い) → more slender
er/estとmore/mostの両方が見られる例:
clever (賢い)
stupid (愚かな)
handsome (ハンサムな)
yellow (黄色い)
学んだ内容を内容を参考に、比較表現の使い方の練習をしてみましょう。
比較の表現における、er/est と more/most の使い分けについて説明しました。最終的には暗記せざるを得ない面もあります。しかし、なぜmore/mostなのか、なぜer/estではいけないのか、その理由や傾向を知っておくのは学習の手助けになるかもしれません。