今の英語力を最大限に発揮できるようにするための、スピーキングの時に注意したいポイントを整理しています。スピーキングの際にはライティングよりも時間がありません。考え込んで沈黙していては試験では点は取れませんし、日常会話も窮屈なものになってしまいます。ただ日本語を英語に訳してはいけないのはライティングと同じですが、スピーキング独特のコツもあります。これらに注意するだけで、ぐっと英語が話しやすく伝わりやすくなります。
スピーキングの際も英語での表現のコツはライティングと同様です。簡単に説明します。詳しくはライティングのコツで説明しているので合わせて読んでみて下さい。
結論+説明/具体例で話す
結論や伝えたいことを先に言いましょう。理由は後から付け足します。例えば、辞書を忘れてしまった時には、先に辞書を貸して欲しいことを伝えて、次に理由を述べます。
Could you lend me a dictionary? I forgot to bring my dictionary.
特に、要求、報告、謝罪などは先に言わないと、相手に伝わらないことがあります。
英語にできないと思ったら言い換えてみる
スピーキングではいちいち辞書を引いたりすることはできないので、即座の判断が求められます。自分の頭の中の単語でなんとかするしかありません。英語での言い方がわからずに考え込んで時間を使ってしまうと、テストでは点が取れないですし、日常会話では相手の時間を無駄に奪うことになってしまいます。沈黙してしまうよりは、大雑把で伝わればいいので、自分の知っている表現でなんとか伝えるようにしましょう。
今持っている単語の中で最もマシな表現をひねり出して伝える癖をつけましょう。例えば、緊急事態が起きて「校庭へ避難して下さい」と英語で言わないと行けない場合、「避難する(evacuate)」が英語でなんと言えばいいか分からなかったら、「避難する」に近い単語や伝えたい意図(外へ移動する)が伝わる別の表現で言うしかありません。この場合は、Go to the ground. Run to the ground. Go outside. などが考えられます。
また、知っている表現の中で言いたい内容に近い表現で代替するのも一つの手です。財布(wallet)を表現できない場合に代わりに、pouch(ポーチ)や small bag(小さい袋)と言ってお茶を濁します。この場合、その場を何とか乗り切るために、多少意味が異なる表現でも使ってしまいます。
ライティングと違って相手が目の前にいて同じ状況を共有していると多少言葉を間違えてもスピーキングでは文脈で伝わりやすいです。相手に意図が伝わればいいので、答えは1つだけではありません。様々な工夫があるのでライティングより実は気楽かもしれません。
スピーキングの時に言葉に詰まってしまった時には、つなぎ言葉 (filler)を使って間をつなぎます。英語では沈黙すると気まずい雰囲気になりがちなのでよろしくありません。そういう時は以下のような言葉を使って沈黙を避けつつ、その間に英語をひねり出して対処しましょう。沈黙を防ぐためのものなので、つなぎ言葉自体には意味はありません。
つなぎ言葉
Uh… ァー 「え〜っと」「うーん」などの時間を稼ぐ英語での言い方
Um… ァーン 同上。
Let me see. 「えっと…」「ちょっと待って(何かを調べたり確認したりする時にも使う)」
同じつなぎ言葉ばかりを使っていると不自然になることもあります。そういう時は、言葉に詰まっている理由や気持ちを正直に言ってしまうのがいいです。次の表現を参考にしてみて下さい。
困っている理由を口に出す
How can I say? 「どうやって言えばいいかなあ」
What do you call it? 「なんて言うんだっけ?」
It's difficult to explain. 「説明するのが難しいなぁ」
That's a good question. 「いい質問だなぁ」
That's an interesting point. 「いいところをつかれたなぁ」
That's a difficult question to asnwer, but I think... 「答えるのが難しい質問ですが、私の意見では…」
I have never thought about that before, but...「そのようなことは考えたこともありませんでした。でも…」
このように具体的に言葉に詰まっている理由や気持ちを言うことで、相手が助け舟を出してくれることもあるのでおすすめです。
日本語で話していても、少し難しい内容になれば私達日本人でも言葉に詰まります。ですから、英語で言葉に詰まるのはどうしても起こることです。必要なのはその対処の方法を知っておくことです。以下のYouTube動画ではつなぎ言葉の発音や具体的な使い方を解説してくれています。視聴して参考にしてみて下さい。
英語を話す時に、間違いをすることに対して極度に不安になる必要はありません。以下でその理由を説明し、間違えたなと思った時の対応を紹介します。
言い直す
原稿を読まずに即興で話す場合、日本語でも言い間違いは起こります。ですから、英語を話す時に言い間違えが起こるのは当然です。その場合は、自分ですぐに言い直しましょう。英語では、こうした言い直し(self-repair)は自然な会話の一部であり、むしろ「考えながら話している」という良い印象を与えることもあります。
例:
“He have—he has a cat.”
「彼は飼って…彼は猫を飼ってます」
※文法間違いは気づいたらすぐに言い直しましょう。
"I started play, uh, I started playing table tennis when, I was, I felt I lack physical strength."
「私は、始めたのは、えーと、卓球を始めたのは、私が、体力不足を感じていた時です。」
※間違いに気づいたら、すぐに正しい表現で言い直してみましょう。
"I went to—well, I was going to go to the store..."
「行ったんだ。じゃなくて、えっと、そのお店に行こうとしていたんだ」
※間違いを言い直す前につなぎ言葉を使っても良いです。
"She really—uh, I mean, he really helped me."
「彼女は本当に…あ、ごめん、彼が本当に助けてくれたんだ」
※間違いを言い直す前に "I mean" や "wait, no"など自分で気づいたことを示しても良いです。
"It was on Tuesday—wait, no, Thursday, I think."
「火曜日だった…いや、待って、木曜日だったかな」
使える言い直しのフレーズ
こうした言い直しに使える便利なフレーズも覚えておくと役に立ちます。
例:
"uh, "(あ…)[間違いに気づいて言い直す前に少し考える]
"I mean..."(つまり、言い直すと)[前の言い方を言い直す]
"Wait, no."(あ、違う)[言いかけて自分で修正する]
"No, wait."(違う、ちょっと待って)[相手の話を遮って訂正する時にも使える]
"Let me rephrase that."(言い換えると)
"What I meant to say was..."(言いたかったのは…)
これらを使えば、たとえ間違えてもスムーズに会話を続けることができます。大切なのは「間違えないこと」ではなく、「間違えてもやり取りを止めないこと」です。
会話特有の語順を味方につける
スピーキングの時に、先に頭に浮んだ言葉から言い始めて、言い直すことはありませんか。
例えば「あなたの先生は沖縄の方ですか」と英語で言いたい時に、「Your teacher」から言い始めて、間違えたと思って恥ずかしいと思ったりしていませんか。ですが、会話の表現では「Your teacher, is she from Okinawa?」のように語順が入れ替わることは、自然な会話表現の一つであり、決して間違いではありません。 会話でどう語順が入れ替わるかのルールを知っているだけで、不安を解消することができます。
この点については【会話特有の表現を使い分ける】でも詳しく説明しています。