2022/09/13 最近目にした'67VWの

テールレンズを目にして思い出したこと。

Air-cooled VW Beetle tail lens "SAE STDB 66".

昭和の残り香 信沢あつし

Sep. 13 2022 Smell of oldies. A.Nobusan

2022年9月10日、'69VW1500の車検整備で整備工場に搬入した時、整備中の'67VWを見て、すぐに目に飛び込んできたのは、テールレンズだった。


小判型のテールレンズの上部には台形状の凹みがあり、そこに"HELLA"と部品番号"SRBBL 360-2"が陽刻されるが、その間に"SAE STDB 66"とあるタイプだったからだ。

翌9月11日は森林鉄道の保存活動で根利。到着してVWを止めるとまだ早かったので、自分のビートルのテールレンズをあらためて見る。

レンズ上部には台形状の凹みはなくスムーズで、"SAE STDB 66"の陽刻もなく、"SRBBL 360-2"の刻印のみ。シンプルで、凹凸がなく平滑である。


この"SAE STDB 66"の陽刻を見たのは、もう40年ぐらい前になる。群馬県のVW Shop "FLAT-4"の代理店に「ヤナセ純正新品」などと書かれ、ショーケースに入っていた。聞けば「当時からのデッドストックで、もうなくなるよ」と言われ、購入を検討したのだった。私が'67VW1500を買った頃だったであろうか…。

今でいうところの"NOS (New Old Stock)"品だった。
(もしかして今はNOSって言わないか!?)

左画像は、"SAE STOB 66"となっているが、正しくは"SAE STDB 66"。

早速、当時行きつけの修理工場だった小野塚自動車ボデーの「おのさん」に行って相談してみる。すると「それはヤナセの後付けの交換用パーツだ」と明確な答えが返ってきた。事故修理などでテールレンズを発注すると、必ずこの"SAE STOB 66"が入って来たとのこと。

写真は1984年頃に購入した'67VW1500。今見てみると年式不相応なアンバー(橙色)のウィンカーのテールレンズになっている。きっとこのレンズを赤一色に交換したかったのだろう。

日本では法規上ウィンカーが「橙色」になったのは昭和45(1970)年頃で、'67は本来は「赤色」であった。

ただ'67は、修理中に欲しいという人が現れて、私は修理をしただけで、乗らずに終わってしまったが。


次に"SAE STDB 66"を見たのは、30年ぐらい前、1990年代の汐留辺りのワーゲンイベントだった。横浜のバグフェンダーの田中さんが中古パーツをたくさん並べていて、そこにタイプ2用のテールレンズが何枚か並んでいた。1991年に'購入した66 WESTFALA Camperの片側のテールレンズにひびが入り気になっていたからだ。

そして一番きれいで、値段もちょっと高かったタイプ2のテールレンズを手にすると、それが"SAE STDB 66"だった。新品の様にきれいだったのは後から交換したパーツだったからだろうか。私は、その刻印の入っていない中古のレンズを購入したのだった。

この小判型のテールライトは、1961年のビートルで採用され、1967年までの全ビートルと、1973年までの1200に使われていた。1968年以降はデラックスな1300、1500は写真右手(我が家の'69)のアイロン型のレンズとなった。そして1973年モデルでは丸い大きなレンズとなり、1974年には1200にも採用された。

写真右は'69モデルなのでウィンカーは赤色である。基本的に1970年モデルからは橙色(アンバー)になる。これは国産旧車でも同様なので、覚えておくと年式の判断材料になる。それと昭和45年に変わっているので、国産車だと橙色のウィンカーを追加取付したような車種もあり、そんなのを見つけると「昭和45年式ですか?」などと話も弾んだりする。

2022/09/14 追記 facebookに書き込んだら教えてくれる人がいました。

"SAE STDB 66" は米国主導の自動車及び航空機の国際規格標準化団体の照明識別コードで、SAEは団体名(Society of Automotive Engineers) 、Sはストップランプ、Tはテイルランプ、DBはちょっと不明。66は認証年(1966)とのことでした。1966年ということは、1967年モデル以降のビートルにはこの陽刻があるのかもしれません。そして、ヤナセが在庫していたのは最終的に新しいパーツで、この刻印入りの物だったのではないかと考えられます。