2019/11/25 表町二丁目を

昭和の残り香 信沢あつし

Smell of oldies. A.Nobusan

前日、笠間まで'73ビートルを運転。その後、2時間ほど人車軌道の撮影に集中。さすがに、眼が疲れたようだ。

夕方近くになって、カメラを持って表に出た。どこへ行くともなく南へと行くと葉が落ちた柿の木に柿が残っていた。秋も深まり、冬が近づいたことを感じる。

そして、なんとなく東へ、表町二丁目方向へと足を進める。

公園のところまで行くと、角の一軒が解体されていた。リフォームされて、そんなに古そうには見えなかったが。

角の家が解体されて、となりの平屋が露になってしまった。随分前から、人が住んでいる気配はないが、こちらは解体を免れたということか。

その路地を入り、前橋駅方向へと向かうと一軒の看板建築が残っている。ここも人は住んでいないようだが、駅前通りの裏通りであるが、昔の駅前の賑やかさを伝えている。

その看板の家の脇には、向こうの通りまで、細い路地が抜けているようだ。

古そうな広い駐車場。何気に見たら、レールが埋まっているように見えたのだが、残念なことに鉄筋だった。コンクリート舗装をするのに縦横に鉄筋が埋められている。昔は、鉄筋を張ってコンクリートを打っていたのを思い出す。コンクリートが擦り減り、鉄筋が表から見えるようになったのだ。

その脇も、向こうの通りへと抜けられそうな狭い路地。ただ、私も大人なので、そこを抜けたい気持ちを抑える。

その次の角は今は空家であろう平屋が。奥の二階屋も物干し場の手すりが木製で、古そうに見える。

その先の家の脇の路地は、奥の家への入口。旗竿型の敷地は時代的に古いのではないだろうか。戦後の焼け野原に家が建てられた結果だろうか。しかし、昭和を感じさせるシュロの木が植えられた瓦屋は立派である。

旧イトーヨーカドーの向かいのセブンイレブンのところに出て来る。西の空は秋というより、冬の寒波を思わせる雲を下の方から朱色に染め始めていた。

左に折れて前橋駅方向へと向かうと、イチョウの落ち葉が風でクルクルと、いや強い風でグルグルと舞っていた。

もう一本駅前通り寄りの角へと着く。駅前ロータリー越しに東に白く明るい煙のようなものが見える。低層に沸いた雲の様だ。背景の雲は薄暗いが、その雲だけが太陽の日差しを受けているのだろう。

その角を左に折れると喫茶店がある。一度寄ってみたいが、なかなか決断ができない。

その先は2棟のマンションがそびえる。前橋駅前も都会になったものだと感じる。そのマンションの隙間から、煉瓦の倉庫、上毛倉庫が見えた。