2020/01/09 前橋の街は達磨供養で始まる!!

The town of Maebashi begins with "DARUMA KUYO".

昭和の残り香 信沢あつし

Smell of oldies. A.Nobusan

前橋市のイベントは、1月9日の達磨供養「お焚き上げ」で始まる。前橋の八幡様境内には大みそか頃から、古い達磨が集まって来る。

1月5日の晩には、ずいぶんと集まっていた。

達磨供養前日、1月8日の夕刻に通りがかると、次から次へと達磨を持った人がやって来ていた。

八幡様の境内の中央では、達磨供養の準備も進んでいた。

初めて行われたのは昭和50年頃だと、何年か前の達磨供養の日に聞いた。私が初めて撮影したのが昭和51年の1月9日だから、その日が第1回目だったのかも知れない。

その頃は、集まった達磨を大山に積んで火をつけていたが、今ではダイオキシン規制法、また火災の心配もあるから、一部の達磨をお焚き上げするのみではある。

2020年の1月9日は、雲一つない好天となった。風も強くなく、絶好の達磨供養日和といえる。

沢山の人が戸の囲む中、前橋市長の挨拶から式典は始まり、神事へと移っていく。

東京オリンピックを目指して前橋市で長期合宿をしている南スーダンの選手たちも招待されていた。彼の地では、このように炎を上げるイベントはあるのだろうか。

神事が終わり、前橋市長が炎を放ち、お焚き上げが始まる。

達磨は、一つ、二つと炎が移っていく。今年は、少し火の回りが遅かったかも知れないが、温度が上がれば、それは速くなる。

一年間お世話になった達磨たちに感謝し、そして熱気とともに煙を浴びて、今年一年の無病息災を祈る。

燃え上がる炎の向こうでは、消防士が消防車の上に乗り、見守っている。

達磨たち全体に炎が回ると、それは迫力がある。大きな炎の恐怖を感じるとともに、何か痛快な解放感の様なものもある。

30分ほど燃え続けて、達磨たちはモノクロ写真の様な灰色になり、炎も収まる。

全てが灰になると、すかさず消防隊員が水を撒くと、陽炎とともに水蒸気が舞い上がる。灰色の達磨たちは、黒い炭のようになって行く。

達磨供養が終わると八幡様で初詣をする人たちが列をなす。そして、ほとんどの人は商店街へと向かっていく。1617年(元和3年)に始まったという初市「だるま市」に向かう。

新年の快晴の一日、私も朝から達磨供養を楽しむと、初市へと向かったのだった。