2023年のトロッコを振り返る 5

森林鉄道フェスティバル2023

A visit to a small narrow gauge railway in Japan, 2023 Part 5, Oct. 8 2023.

Small narrow gauge railroad and local railroad.

昭和の残り香 信沢あつし

Jan. 7th 2024. Smell of oldies. A.Nobusan

2023年のトロッコ旅(!?)を振り返る。その5

秋は私が参加している群馬県沼田市根利の「第10回 根利森林鉄道まつり」。仕事がないので、イベント用のイラストを描いたり、告知のチラシや当日配布の資料も作って印刷の発注までして、更にはTシャツまでデザインしてシャツを調達して印刷に出すなど、私も色々とすることになってしまい忙しい日々となった。

そんな10月8日に王滝村では久しぶりの「森林鉄道フェスティバル」を開催とのこと。私から言わせると「トロッコ」ではなく「鉄道」のイベントなのであるが、久しぶりに「りんてつ倶楽部」のメンバーとも会いたいし、走る森林鉄道はやはり魅力的であり、いつもと同じだが、夜行日帰りで行ってきた。

出来れば早朝から行って、近所を寄り道したかったのであるが、根利のまつり準備で忙しく、出発が想定よりも遅くなってしまった。

それでも1時間近く早く上松のセブンイレブンに着いたので「寝覚の床」の保存機関車を見に寄った。

ここにあるのは凸型のNo.99とL型のNo.120である。No.99は昭和52年に初めて上松に寄った時に、初めて見た木曽の機関車だった。No.120は、とても不思議な機関車である。大概の人は機関車だと思うだろうし、私も最初はそう思ったのだが、これは除雪車だった。キャブ背面に除雪ユニットを取付けるのである。

そんな機関車を改めて眺めてから、王滝村へと向かった。

午前9時に王滝村の松原スポーツ公園に到着すると、もう沢山の人がやって来ていて、三脚や脚立を立てて線路脇に陣取っていた。

私はというと、月刊「とれいん」の取材も兼ねたので、開会式の会場の停車場へと行く。

今回の始発点となる停車場には、No.32が木曽ヒノキを積んだ運材台車を率いて停車していて、朝は曇りであったから、列車の背後には御嶽山が顔を出し始めていた。

関係者の挨拶が終わり、ホーム上でテープカットをすると、No.32のエンジンが始動し白煙を上げるとともに、ホーンの長い音が木曽谷に鳴り響いた。山中で聞くこの手のホーンの音はたまらない。

そして、運材列車が発車し、イベントが始まった。


この停車場には、機回し線と、もう一線の側線があるが、そこに木曽ヒノキを積んだ運材台車と、3両の機関車、そして木曽B型客車が佇む光景は、往年の木曽森林鉄道を想像させる、素晴らしい光景だった。

カメラを持った皆さんが列車を追いかけているすきに、この停車場の光景を楽しんだ。

ここにいるだけで、列車が発車していき、戻って来ると機回しをする。それも、運材列車の後は、客車列車が運転されるのであるから、とにかく楽しめる。


もう、モノクロ写真で見たら、往時の木曽森林鉄道と勘違いするのではないかと思うほど。

そして一般は立入禁止だから、背景も申し分ない。

今回の森林鉄道フェスティバルの一番の見どころは、ここではなかっただろうか。


午前11時になるとモーターカーの出番である。その前に機関車とB型客車が車庫に戻って来て、車庫前に動態保存の全車両が集結した。その回送シーンも見ものだし、順にエンジンを掛けていくモーターカーを見ているのも楽しい。

今まで、全ての車両が一堂に集まって見られるようになっていたことがあったであろうか。とにかく濃い車庫前であった。

そして私、のぶさんらしい写真を。

崩れかかった木製台枠のトロッコである。線路脇に放置されるようにしてあるのがまた魅力的である。

しかし、これも当時の木曽森林鉄道の動態保存車両で、現在でも保線などで使用しているトロッコだ。

松原スポーツ公園の線路は、確か2019年にエンドレスとなった。その線路を辿りながらモーターカーが行き来するのを眺めて歩く。

半周程したところで、今度は「林鉄バイク」が現れた。エンドレスは完成したものの、山沿いは枕木が傷み森林鉄道車両は走れない。ただ軽量の林鉄バイクは、ここも使って走っていた。

乗ってみると良く分かるが、これが線路の継ぎ目などの振動を直に体感できて楽しいのである。それも普通にこいでも30分は掛かる。30分間楽しめる、おすすめの車両である。

姫路を出るところ国道372号線のセブンイレブンで、チョコ最中ジャンボを買って、二人で分けて眠気覚まし。これが効くんだな~。

国道372号線を走っていると陽が沈んでいくのがいつもの光景。

夜8時に亀岡のガストに到着して夕飯後に宿へ。

午後は列車の走行シーンを撮影。運材列車を牽引しているからか、いつもよりも一段と力強い音をさせて走っていく。

やはり見どころは、2019年に開通した、このS字区間ではないだろうか。ただとにかく来場者が多く、人のいない写真は取れないほど盛況だった。

エンドレスでもなく、片側は機回し線もないので、No.32が牽引していくと、そのあとをNo.42が単機で続行運転し、帰りはNo.42が牽引してくるという運転方法。

走る機関車を2倍楽しめるのだった。

その後、もう一度、車庫まで行って帰ってくると雨が降り始めてしまった。しかし、屈強なカメラマンたちは傘を何本も持ち込んで撮影に挑んでいた。

雨が時間と共に激しくなっていったが、雨がしのげるドームの下で、色々な人と話し込んでしまい、駐車場へは猛ダッシュだった。

この日の見どころは木曽ヒノキを積んだ運材列車であったが、もう一つの見どころは「奈良井宿」からここに移された車両たちである。

ご存じの通り、奈良井で車両を保存されている方がいて、以前は木曽に来たらそこに立ち寄るのがコースの様になっていた。ところが持ち主が亡くなり、その後しばらくして王滝で保存することになったのである。

そんなDL、B型客車も披露された。奈良井宿に置いてあるときは、心もとない感じがあったが、ここで線路の上に乗っていると、随分としっかりしているように見えた。これから王滝村とりんてつ倶楽部の協力により、レストアされることになるのであろうから、大変楽しみである。

運材台車は車庫裏の留置線にあり、スタッフに許可を得て案内をしてもらい撮影をした。