2021/10/17 昭和のワーゲン、乗り比べ!?

2021 Comparison of old VWs.

昭和の残り香 信沢あつし

Oct. 17 2021 Smell of oldies. A.Nobusan

たまたま3週連続で、毎週違う年式の空冷ビートルで赤城山を越えて根利へ行った。

我が家は家族3人がクルマに乗るが、4台の昔の空冷エンジンのフォルクスワーゲン・ビートルがある。

趣味の活動で群馬県沼田市の「根利」という地区に行っているが、10月3日に行くと日影南郷の手前、園原ダムの下流部の橋が壊れて通行止めで、迂回路を走らされたので、帰りは赤城山を越えて前橋へと帰った。

前橋市と根利の位置関係は、赤城山を挟んだ反対側である。昔の有料道路で南面を登り、北面を下る。距離的には近いというか、信号がなくて時間が読みやすい。脇道もないので、遅いクルマに遭遇しても諦めがつくのが良い。

10月は3日、10日、17日、24日と毎週根利へ行く。まず3日は '69 VW1500で行き、10日は '78 VWカブリオレ、17日は '65 VW1200で赤城山を越えて来た。すると、それぞれのビートルの違いが見えて来た。

'69 VW1500は、名前の通り1500cc。ビートルは大きく分けて1200、1300、1500、1600ccとあるが、1500はトルクがあって、ローギヤードで、とにかく走りやすい。いつでも、どこでも力強い走りをしてくれる。ただ昔のワーゲンだから、現代のクルマの様な最高速は無理ではあるが、いずれも高速道路を巡行するには十分なスピードは出る。

とはいえ非力なのには違いはないので、坂道などは一旦スピードが落ちてしまうと、シフトダウンが必要で、スピードに乗るのに時間が掛かる。なのでスピードを殺さないように丁寧な運転を心がけている。

'69 VW1500の場合は、南面でも、北面でもいい感じである。'65 VW1200は、南面の真直ぐな上り坂が苦手である。50km/h制限の直線で40km/hなどの遅いクルマに追いついてしまうと、もう駄目である。シフトダウンをして再び50km/hに戻すまでに時間が掛かる。ただ、南面の直線もマイペースで巡行している分には、いい感じで走ってくれる。

南面のカーブは、山頂が近づくにつれて急カーブになって行くが、それなりのスピードで走っている分には、3台とも3速に落とせばカーブを曲がって登っていける。この時のレスポンスの良さは、'65 VW1200だ。'69 VW1500よりもローギヤードの分、加速するタイミングが早い。厄介なのは1600ccの'78 VW1303LSEカブリオレだ。インジェクションで回転は安定してくれて、大した坂では無ければ一番トルクを感じることができるのだが、急カーブ、急坂となると、一番ハイギヤードなためシフトアップまで長く、低いギアで長く走るもどかしさがある。

北面は山頂側から下りだすとR30の急カーブが続く。ここは下りの場合は騙し騙しの3速か、タイミングを逃したら2速に落とす。その先は、短い直線とR35が続き、時に長い直線があるが、南面と比べると急勾配だ。このR35を短い直線でつなぐ部分も、'65 VW1200が気持ち良い。カーブを抜けると、すぐに3速にシフトアップできる。やはり、この区間も'78 1303LESはなかなか3速に入れられずもどかしい。長い直線部分でも'65 VW1200はすぐにトップまで入れられる。アクセルオフでも勾配で少しずつ加速してしまうが、いずれもトルクがあって無茶な加速はないのだが、やはりギア比の違いで、ハイギヤードの'78 VW1303LSEはスピードが出過ぎて運転しづらく、'65 VW1200は早めにスピードが落ち着いてくれて、運転がしやすい。

まあ、北面下りは3台ともに良い感じで下れるが、上りとなると少し違う。急こう配の直線や緩いカーブが長く続くところでは、やはり'78 VW1303LSEが強くて気楽に運転ができる。ところが'65 VW1200となると、なかなかトップに入れられない。スピードを乗せるのに3速で走るのはエンジン音も高鳴るし、こちらの心臓も高鳴る。クルマも頑張って走っている感じの音となるが、運転する方も心身ともに頑張ってしまう。

面白いのは、R35のカーブが登場し、R30に切り替わった最初のカーブである。こちらも油断しているということもあるかも知れないが、カーブがきつくなり、勾配もきつくなる。ここだけは3台ともに2速にシフトダウンしてしまう。

帰り道に、南面を下るのは気楽なものである。近年、年に何度か赤城を越えているので、霧が出てもあまり気にならない。赤城の北面は行きも帰りもクルマは少ないが、南面はクルマが多い。特に帰りに下るときは、赤城観光をして来たクルマたちが下っている。とにかく台数が多いので、走り慣れていない人が必ずいる。50km/h制限で、たいそうなカーブもないのに40km/hとか、時にはもっとスピードが落ちる。バスに遭遇することも少なくない。バスも出しても45km/h程度。

そこで慌ててはいけない。もう脇道はないし、脇に止めるところもあまりないから、最後まで付き合うおおらかな気持ちで下るのが大切である。あまり車間距離も詰めず、煽るようなことにならないようにして下る。3回とも、そんなクルマに遭遇したが、走り易かったのは'65 VW1200だった。ローギヤードなので3速で良い感じで、4速にも入れても坂道による加速も穏やかだ。ダメなのは1600ccの'78 VW1303LSEである。3速でもスピードが出てしまい、ブレーキを踏む回数が増えてしまう。

もう空冷VWビートル歴43年目であるから、それなりにビートルの特徴は分かっている気でいるが、こうして3週連続して、同じ道を、異なる排気量で走ってみると、具体的な違いが明確になって、とても楽しかった。

3日は、まだまだ夏の終わりの様な感じであり、10日の赤城大沼周辺も、あまり紅葉が進んでいるような感じもなかったが、17日の帰りの赤城大沼は寒風が吹き荒れ、水面に煙の様な水しぶき、水煙を上げていた。

42年間乗って来ても、味わい深い空冷VWビートルなのであった。