2019/11/15 還暦ビートル

MY VOLKSWAGEN STORY

"KANREKI" is 60th birthday. Wear red Japanese style clothes. I wore a red VW Beetle.

昭和の残り香 信沢あつし

Smell of oldies. A.Nobusan

今年2019年、私も還暦を迎えた。みんなが「赤いちゃんちゃんこ」などというが、私は還暦になったら「赤いビートル」に乗りたかった。いや、「赤いワーゲンに乗るんだよ」とみんなに言っていた。

そして、ついにその機会がやって来た。天気は私の還暦を祝うかのような秋晴れである。

実は市内の知り合いのおばちゃまが赤いビートルで、それに乗る機会を窺っていたのだが、車検で修理屋までの移動に付き合うことなったのだ。今までは、トロッ子さんが一緒に行っていたが、今回は「修理屋まで私に運転させて」と。

枯葉が吹き溜まる駐車場の隅にワーゲンは出されていた。

我が家の白いビートルを止めると、すぐに家から出てきたので、おばちゃまにデジカメを渡して、すぐに「還暦ワーゲン」の記念撮影を撮ってもらった。驚いたのは、そのおばちゃま。もう70代後半というのに、何の躊躇もなくデジカメを構えて、ポーズに注文を付けて、パシャ、パシャ…と撮ってくれたのだ。

クルマは1974年モデルのスタンダード。ダッシュボードには、ライトとワイパーのスイッチのみ。オプションのラジオも付いていないという貴重なビートルである。

おねえさんは、1969年に1967年モデルのスタンダードを買い、それ以来、1972年の1302S、1977年の1200LS (1600cc) 、そしてこれ。50年間を中古車のビートル4台を乗りついてきた強者である。

この赤い還暦ビートルは、あるおじちゃまが乗っていて、「その方がクルマが置けなくなったから」と買い受けたもの。

走行距離は89,900km。まず、乗ってすぐに気づいたのが、不安になるぐらい音が静かなこと。これで、普通に走るのか!?と思ったのだが、なんとも軽快に走り出した。程度の良いビートルというのは、こんなに静かなのか。それも内装の内張が少ないスタンダードである。

シート自体はへたっていたが、クルマの車高は高いと感じる。足回りにへたりもないのであろう。

1979年、おねえさんから遅れること10年。私も1969年のビートルを買ったが、その時の事を思い出した。もうすぐ10万キロになろうというビートルだっが、当時「まるで新車の様だ」と感じたことを。

ちなみに、この写真も、おばちゃまが撮影してくれた。嬉しいね。

あれから約30万キロ走った我が家の'69ビートルは、今でも現役で使っているが、やはり草臥れてきているのだな~と、この'74に乗ると、とても良く分かる。

'74を置いた帰りは'69だから、トロッ子さんが運転してついてくる。

トロッ子さんも、信号待ちの都度、パシャ、パシャとデジカメのシャッターを押してくれた。

「でも、ずっと日差しが強くて、ワーゲンが黒く写っちゃうんだよね。」と。

吉井町のワーゲン専門の修理屋「輪玄舎 After You」に到着。約20キロの距離ではあるが、「還暦ワーゲン」を楽しませてもらい、ワーゲンの良さを再認識させてもらった。

このビートルの車検が終わったら、我が家の'65ビートルも車検だから、その時も一緒に来るのかな。

「ビートル」と「ワーゲン」と二つの言葉が出てきたが、今や我が家にとってはどちらも「空冷フォルクスワーゲン・ビートル」のことである。

'74ビートルは少し塗装が草臥れていたが、クルマ自体は若々しかった。おばちゃまも、まだまだ若々しかった。

帰り道、助手席に座っていると「神明会館」が取り壊されて、なにやら工事が始まっているようだった。なんでも、戦前からあった建物だったときいたことがある。

私も還暦になり、随分と時代が変わって来たということだろう。