2019/11/21 からたちも秋はみのるよ
まろいまろい金のたまだよ
A special spot on the Baba River in Maebashi.
昭和の残り香 信沢あつし
Smell of oldies. A.Nobusan
facebookを見ていたら、過去のこの日にカラタチの実の写真があった。「カラタチの実がなっているかもよ」と午後2時半頃、夫婦で馬場川沿い、我が家で云う「枳殻の小道」に向かった。
八幡様のイチョウの紅葉はイマイチだが、今年は国道50号のケヤキの紅葉が美しい。赤い木、黄色い木、枯れたのだろうか茶色い木。
五差路の歩道橋から古本屋の屋根を見ると鳥がとまっている。そんな姿を写そうとして、デジカメを向けて、ピピピッとピントを合わせると、その赤外線が分かるのだろうか、飛び立ってしまった。
大谷歯科のところから馬場川沿いに入り、石屋さんを抜けて行くと、カラタチの生垣となる。実がなっていないか探していると、違う実がなっていた。ブルーベリーだろうか。
カラタチの実はないが、カラタチの生垣の向う側、隆興寺の木が赤く色付いて美しい。欲張って、カラタチとシュロの木と紅葉と入れてみた。
私が、色々と見て遊んでいるうちに、同行のトロッ子さんは、さっさとカラタチの実を見つけてスマフォで写真を撮っていた。
「今年は一個しかないのかね。」
「う~ん。」
実がなると、誰かが採って行ってしまうのか、例年、1個、2個である。
生垣が終わると、狭い道の北側には古い家が並ぶ。空家も増え、一カ所解体中の家もあったが、この狭い道では解体も大変であろう。随分前に解体された空き地の陽だまりで黒い猫が大人しくしていた。なにをしても移動しない。ここが暖かくて、居心地が良いのだろう。
細いところを抜けると第二保育所があり、その隣はゲートボール場。いや、今は跡地か。その脇の駐車場の境目の黄色い実をつける木々が切られていた。もう、ゲートボールをする年寄りもいないし、この北側の地区と共に区画整理をされ、何か建つのだろうか。
正幸寺の中は大きな木が沢山ある。松ぼっくりが温かな日差しを浴びて輝いている。しかし、紅葉の何かがおかしいと思って、気にしてみると、境内の杉がブチに紅葉していた。
その昔、小海線の野辺山辺りで、見渡す限りの杉が黄色く染まったのを見たが、これはブチである。写真よりもオレンジがかっていて「湘南電車色」と名付ける。
正幸寺のブロック塀沿いを北へ行く。春には塀沿いにタンポポがずらっと咲いているのを見たこともあるが、今は塀沿いに延びた蔦が紅葉の季節の様だ。
元大竹酒造の方へ行くと、丁度イベントをやっていた。私は「写真を撮って行くね」と大竹酒造の敷地に入り、トロッ子さんは「買い物をしていく」と別れる。
イベントは絵画展だったようだが、私は酒造の脇の路地に並ぶ、小さな平屋の家々を眺めて行く。
敷地を北側へ抜けると屋根の鈑金屋さん、その脇の路地の先が、私の伯父が住んでいたところだ。アパート自体はなくなったことは知っていたが、上毛電鉄の踏切の音も聞こえてきたこともあり、今はどんな感じか路地に入ってみた。路地の先の空き地は、柵がされ、その手前から辺りを眺める。当時は広瀬川沿いに小道のようになっていたのだが。
路地を抜けて街へと向かいつつも、再び踏切の音がしてきたので、信号の角を曲がり上電の踏切へと急ぐ。
電車が行き過ぎるのを撮ってから、駅の方へと向かう。ワカイカメラがあって、八百屋があって、酒屋があって、その向かい側は上毛電鉄の本社も入る細長い雑居ビル。そこを抜けると食堂「美やこ」が入るビル。地方都市の駅前らしいビルであり、その風情が私は好きだ。
中央前橋駅舎内を通り抜け、ロータリーを抜けて行く。もたもた歩いているうちに、随分と日が傾いてしまい、影ばかりだ。
街中に入ると、日が随分と傾いて、歩道のタイルを斜に照らしていた。
街路樹は、ハナミズキだっただろうか。赤黒い紅葉が日に照らされて鮮やかな赤で美しい。その向こう側には「赤字ラーメン」の看板。ちょっと面白い。
寒くなったから、路上のテーブルにビニールを張った居酒屋。浅草のホッピー通り的な面白さがある。飲みたい気持ちはあるが、まだ準備中の様だ。
ワーゲンのお尻の看板のイエローモンキーの正面の坂を上ると、八百屋に傾いた日が当たり、その辺りのケヤキが黄色く輝いていた。
秋も深まり、日も傾いていたが、カラタチの実を見られて、満足して帰宅したのだった。