2023年のトロッコを振り返る 1

福島県白河、矢吹の酒造、喜多方三津谷登り窯など

A visit to a small narrow gauge railway in Japan, Part 1,  Mar. 25,26 2023.

Small narrow gauge railroad and local railroad.

昭和の残り香 信沢あつし

Dec. 26th 2023.Smell of oldies. A.Nobusan

棚倉街道の東釜戸

2023年のトロッコ旅(!?)を振り返る。その1

新型コロナウイルス感染症があって、2019年に急性緑内障発作、2020年は水晶体脱臼と云う手術もあって2020年からはほとんど遠出はしないようになっていたが、2023年は新型コロナも収束してきて、目の具合もそこそこ良くなり、少々出掛けることとした。

先ずは3月25日の未明に出て福島の白河へ。一番気になっていたのは写真の場所である。たまたまGoogle Street Viewで見たら線路のようなものが見えたのである。

でも、実際に行ってみるとレールはなく下水道を埋めた跡といえそうだ。「でも、もしかすると昔はレールがあって、その線路のところに下水を埋めたのかもしれない」と思つてしまう私なのだった。

棚倉街道の東釜戸の造り酒屋跡

棚倉街道の「東釜戸」という地域で、大変歴史があるらしく、立派な造り酒屋だつたであろう建物や、数軒の古い建物が連なる。

古い町で栄えていたのであろうから、トロッコの一つや二つ、と思い一回りして見たが、特になし。ただ、奇麗に建て直された「有賀酒造」さんで「本陣」という日本酒を買い、歴史ある街道筋の街は存分に楽しめた。


そこから北上して国道294号線、118号線で天栄村へ。湯本体育館が、河内川森林鉄道の土場だったところであるからだ。

写真奥、テニスコートの先に笹薮の土手状に横切っているところが、どうも森林鉄道の荷下ろし場であったようだ。山から切り出してきた原木を運材列車で運び、テニスコート側に転がして下ろしていたのだろう。

湯本体育館、河内川森林鉄道の土場
喜多方の三津谷登り窯に残るトロッコ線路

国道118号で会津下郷に出ると、今度は会津高田、坂下と走り抜け、喜多方へと向かった。

お馴染み喜多方の三津谷登り窯である。コロナだったこともあってか、誰もおらず、辺りは雑草が生えてきていた。

まずは登り窯の山側の入口付近に残るレールを確認する。

尚、ここの線路は490mmゲージぐらい。610mmゲージの鉄製枕木の軌框を真ん中で切ってゲージを狭めて使っているようだ。

喜多方の三津谷登り窯とトロッコ線路

そして屋外に残る線路はというと、泥に埋まりつつも通路部分は顔を出して残っていた。

しかし、その先、粘土の倉庫へと続いていた線路は雑草と土に覆われ、再び見えなくなっていた。ただ、線路はまだ健在であり一安心したのだった。

昭和初期、戦前には今の廃校の裏手を抜けて旧国道までトロッコの線路があったが、戦争が始まる頃には撤去されていたらしい。登り窯周辺はその後もしばらく使われていたのであろう。

そして改めて会津若松へ。実は、会津若松の知人のワーゲンショップに寄ったのだった。

というのはウソでハンバーガー屋さんの「THE BERGER STAND」が閉店すると聞き、ここへ寄ったのだった。

お父さんが1958年に乗っており、息子さんは最近1953年を買ったという、ワーゲン馬鹿な親子の店である。

ここでは最後のハンバーガーを味わうと再び、下郷を抜けて、白河泊。夕飯はホテルの近所の「清来軒」でトロッ子さんはラーメン、私は中華丼とビール。(幸せ)


会津若松のTHE BERGER STAND とVWビートルたち
白河の酒造、大谷忠吉本店とトロッコ線路

翌日は折角の白河なので酒造の「大谷忠吉本店」を眺める。土日定休なので開いてはいないが、ちょっとだけ覗いている線路を眺める。

レールは頭部27mmと現在の6kg/mレールより少々重く、ゲージは595mmと珍しい。

トロッ子さんは、以前来た時と同様に隣の山田パンでパンを買っていたが、どうも代替わりをしたようで、昔ながらの菓子パンは目に入らなかったとか。

そして向かったのは、旧奥州街道矢吹宿の「大木代吉本店」さん。ここも手押しトロッコを使っていた酒造であったが、3.11で被災し、蔵が崩れてしまった。最近復興して酒造りも復活しているのだが、残念なことに全てのレールが撤去されてしまった。

ただ2本レールが残してあるというので、まだ他にも線路の遺構が残っているのではなかろうかと寄ったのである。

残されたレールは頭部が大変狭い21mmで、高さ45mm、底部40mmという貴重なもの。5mの一本を真ん中で切断し、2本にして並べて置いてあった。


旧奥州街道矢吹宿の酒造、大木代吉本店のトロッコのレール

ネットを検索すると「かつて矢吹駅へと引き込み線のレールが繋がっており、トロッコで酒樽を運んでいました。いちはやく全国的な流通網を整備していたようで、その名残があります。これを保存してほしいと多くの方からご意見をいただいています。」と古い情報が出てくる。

そこでとりあえずは駅まで蔵を遠めに眺めながら歩いてみた。駅の旧貨物ホーム沿いには大きな酒の貯蔵蔵が建っていた。その脇には、今は使われていないが駅側への通用門。どうも、手押しトロッコの線路は、その辺りまではあったようだ。

酒造は途中の道路も越えて駅まで続いており、その昔はトロッコの線路は道路も横切っていたのであろう。

旧奥州街道矢吹宿の大木代吉本店の酒の貯蔵蔵
旧奥州街道矢吹宿のトロッコの線路跡らしきもの

大木代吉本店さんで日本酒「自然郷」を買った後は、古い宿場町をちょっと散策。とはいえ3.11の影響もあるだろう。多くが空き地となり、古い店は少ない。しかし、その空き地が町家らしい奥深い敷地なのである。

そんな奥深い町家の空き地に、まるでレールを剥がしたかのような跡を発見した!! 下水道を埋めた跡なのか、トロッコの線路の跡なのか。私は、後者だと思いたい。

旧奥州街道矢吹宿の上田商店、TOY SHOP UEDA

その近くに見つけた古いおもちゃ屋「上田商店(TOY SHOP UEDA)」。ついつい入店してしまったら、ちょっと古いワーゲンの玩具を見つけてしまい、ちょっとお高くなっていたが買ってしまった!!(笑)

非売品なのか、かなり古いおもちゃもショーケースには並んでいたが、値段を聞くのが怖くて、眺めるだけとした。


最後は再び国道118号線で会津下郷へと行き、前日の「THE BERGER STAND」さんのご自宅にある「どろんこ」さんで遅い昼食とした。

まあ、不思議なルートで走ってきたが、二か間ほぼ雨で、寄りたい所へも寄れず、寄るべきところに寄ってきたら、このようなルートになったのだった。



会津下郷のレストランどろんこ