翻訳という行為が「解釈」と不可分なのと同様、
ある音楽をカバーすることは、その音楽の「解釈」を示すことでもある。
というか、エリントンのカバーは
むしろ、「どう料理するか」
少し大げさな言い方をするなら、
エリントンをどうカバーするかで、だいたいそのミュージシャンが「ジャズ」をどう考えているかがわかってしまう。
「Isfahan」をアンビエントなダブでカバーした菊地成孔にとって、
エリントンは「ジャズ」と「ブルース」の源流として、創造力を刺激するいまだにアクチュアルな存在だろうし、
「Sophisticated Lady」、「Mood Indigo」をakikoにカバーさせて、
アルバム名にまで『Mood Indigo』と付けた須永辰緒にとっては、
強烈に「ジャズ」を喚起させる名前に違いない。
反対に、「Flight To Duke」という曲名で、
Duke EllingtonではなくDuke Jordanへのトリビュートをつくった、
Fantastic Plastic MachineことFPMこと田中知之にとっては、
どうでもいい存在(または、権威的な存在・スノッブの極み)なのだろう。
ここでは、その解釈の形式的な違いに応じて、
【トリビュート】、【カバー】、【サンプリング】に分類した。
詳しくはそれぞれの項目へ。
【トリビュート】
アルバム丸ごとエリントンの曲を取り上げたもの。
中には「エリントン・ソングブック」という形で、
特にトリビュートを謳ってないものも便宜上ここに含めた。
逆に、アルバムの中で1曲しかエリントン関係の曲しか入っていないが、
それがオリジナルのエリントン・トリビュート曲だったり、
総合的に考えて、尊敬の度合いが高そうなものもここに含めてある。
トリビュートアルバム関係は ⇒ こちら
【カバー】
アルバムの中で1曲だけ取り上げられているような、
いわゆるエリントン・カバー。
はっきりいって、曲単位のカバーはありすぎて網羅は不可能だけど、
まあ、気づいたものを挙げていこうと思っています。
これは管理人のライフワークです。
エリントン・ナンバーのカバー一覧は ⇒ こちら
【サンプリング】
1990年代以降のアシッド・ジャズの流行や、
クラブ・ジャズによる4ビートジャズの再評価により
(という大雑把なまとめでいいのか?)、
ジャズの音源はサンプリングされまくってきた。
中でも、ジャジー・ヒップホップのトラックメイキングには
ジャズのフレーズ・サンプリングは欠かせない要素だけど、
あれだけ多くの音源が発表されているにもかかわらず、
エリントン・ミュージックのサンプリングは驚くほど少ない。
それほど多くないけど、
「あるにはある」エリントンのサンプリングは ⇒ こちら