・Jazz Party '59
前衛サウンド、エリントン・ハーモニー、ジャズ、エリントン・スタンダードなど、エリントン・ミュージックの全てが凝縮されている1枚。
パーカッション大フィーチャー曲あり、、小さい構成ながら組曲があったり、ジャズ的なセッションがあったり、
録音は59年の2月19日。
前月からのフロリダ、マイアミビーチにおける3週間ほどの公演がビジネス的に失敗に終わり、オーケストラは10日にはニューヨークに戻っていた。
フロリダの失敗を忘れ、新曲の「Toot Suite」(通称「赤い」組曲)をレコーディングしようとしたとき、ハプニングは起こった。フロリダの長期滞在からNYへ戻ってきたエリントンを歓迎するため、何十人ものファンがわらわらとスタジオに集合。その中にはDizzy Gillespie, Jimmy Rushing, Jimmy Jonesの姿もあったから大変だ。録音がジャム・セッションに移行するのは必然。「U.M.M.G.」でガレスピー、「Hello, Little Girl」でこの3人が参加しているのはそういうわけなのである。
1. Malletoba Spank
2. Toot Suite:
Red Garter
/Red Shoes
/Red Carpet (Part 1)
/Red Carpet (Part 2)
/Red Carpet (Part 3)...
/ Ready Go!
3. Satin Doll
4. U.M.M.G.
5. All Of Me
6. Tymperturbably Blue
7. Fillie Trillie
8. Hello Little Girl
「Toot Suite」は、「Red Garter」「Red Shoes」「 Red Carpet」「Ready Go!」の4曲で構成される、通称「赤い」組曲と呼ばれている。山口百恵氏のアレとは、何の関係もないはずだ、たぶん。
結局、この日の録音は「Toot Suite」と「U.M.M.G.」「All of Me」「Satin Doll」「Fillie Trille」「Hello Little Girl」で終了。フロリダ遠征とガレスピーの饒舌にぐったり。
ジャケットにこだわらないのなら、このイギリス盤の方が手に入りやすいかもしれない。
襟の乱れや髪のほつれ具合など、エリントンのくたびれた様子がグッド。
パーカッションの大洪水が素晴らしい、「Malletoba Spank」と「Tymperturbably Blue」はこの騒ぎのために後日25日に録音。
さて、翌60年、ガレスピーはエリントンのカバーアルバムを録音する。バスクラやフレンチ・ホルン等を加えたクレア・フィッシャーの編曲が素晴らしいこの作品、「U.M.M.G.」が収録されているのはこの日のセッションへの目配せなのかもしれない。
『A Portrait of Duke Ellington』, 60年
余談だが、確か大西順子氏はこの『Jazz Party』をどこかでフェイバリットな作品に挙げていたはずだ。改めて聴き直してみると、この作品、前衛サウンド、エリントン・ハーモニー、ジャズ、エリントン・スタンダードなど、エリントン・ミュージックの全てが凝縮されているわけで、大西順子氏はそのことを踏まえてこの作品を薦めていたのかもしれない。深いなあ。
『A Portrait of Duke Ellington』
さらにこのセッションから3年後の62年、この日ピアノで参加したジミー・ジョーンズはホッジスとストレイホーンの作品で再びピアノを担当することとなる。
Johnny Hodges with Billy Strayhorn and the Orchestra, 62年