『Ella at Duke's Place』を聴いて、その濃厚な世界にヤラれたあなた!
おめでとう!
あなたには、エリントンの歌モノ、ボーカルものを楽しむ才能があります。
エリントン・ミュージックの魅力は、とにかく「濃い」こと。
ジャズというよりも、それはときにブラック・ミュージックそのもののだ。
そして、そんなブラックネスは、歌ものを聴いているときに特に強く感じてしまう。
『Ella at Duke's Place』なんて、ジャズ、ソウル、ゴスペル、
R&Bのどこの棚に置いてあってもおかしくない音楽だ。
また、このサイトではエリントン・ミュージックの美しさの特徴を
特にハーモニーの特異性に還元して説明しているが、
もちろんメロディ・ラインの美しさも特筆に値する。
ジャズ・スタンダードとして、歌い手たちがエリントン・ナンバーを取り上げるのは、
そのメロディの美しさの故だろう。
ボーカリストに歌われると、その美しさは特に際立つのである。
ここでは、以上の2点からエリントン・ミュージックを楽しめる作品を紹介します。
Sings The Duke Ellington Songbook ('57, 6/25-27, 9/4, 16, 10/17)
Ella Fitzgerald, Sings The Duke Ellington Songbook
当項目のリンク元でも紹介した、エラの57年のソングブック。
65年の円熟の音楽とはまた違った、55年体制全盛期の演奏が聴ける。
大ボリュームの作品、CD3枚組で全38曲!
あまりのボリュームに、短縮したベスト盤も出てるくらい
(というか、2016年12月の現状ではベスト盤が一番入手しやすい)。
ボーカルでひと通りエリントン・ナンバーを味わうならこれ。
とはいっても、いくら好きでも毎日そんな濃厚なもの聴いてられないよ、という人には、
この作品をすすめたい。
・BLUE ROSE, Rosemary Clooney and Duke Ellington and His Orchestra (1956, Jan.- Feb.)
・BLUE ROSE, Rosemary Clooney and Duke Ellington and His Orchestra (1956, columbia)
ローズマリー・クルーニーが歌うエリントン・ソングブック。
もっとも、先録りしたエリントンオケにクルーニーの歌をオーヴァーダビングした企画盤で、
しかもそれぞれの録音は東海岸と西海岸で行われた。
アレンジ、指揮などはほとんどストレイホーンが担当しており、制作事情にはかなりの「やっつけ感」がある
(ジャケットの合成写真も、かなりの「やっつけ感」が漂ってる)。
……が、歌モノの作品として聴いてみると、これがなかなか悪くない。
特に、ストレートにエリントン・ナンバーの「メロディ」を楽しみたいときには、
クルーニーの「あっさり感」がちょうどいい。
エラやマヘリア・ジャクソンはもちろん最高なのだが、毎日聴くのはちょっと疲れるし、
また、毎日聴く音楽でもないように思うのだ。
オケの演奏・アレンジも手を抜き過ぎず、しかし十分にエリントン臭を漂わせている。
私事になるが、90年代はCD化されておらず、入手が難しかった音源だった。
Ray Nance