(Jimmy(Jimmie) Blanton / October 5, 1918 – July 30, 1942)
在籍期間: 39-41年
生没年は間違いではない。
時代を先駆けた才能は、23歳という早過ぎる死を迎えた。
スコット・ラファロの25歳、ジャコの35歳と並び、
心から夭折が惜しまれる革命的ベーシスト。
エリントンオケのベースは他のパートと比べて回転が速く、5~6年周期で交代が行われる。
その中でもブラントンは別格であり、在籍期間こそ短いものの、「エリントンオケのベーシスト」としてまず真っ先に上がる名前である。
なにしろ、エリントン前期黄金期の40-42年は、
「Blanton-Webster Band」とも呼ばれており、バンドの通称にもその名前が使われているくらい。
ブラントンの自由なベースラインは、エリントンの音楽に留まらず、
すべてのモダン・ジャズ・ベースの源流である。
エリントンオケの歴代ベーシストの在団期間が短いのは、常にブラントンと比較されてしまうからなのかもしれない。
The Blanton-Webster Band (’40 - ’42)
The Blanton-Webster Band (’40 - ’42) 【注1】
エリントンとのデュオ、Pitter Panther Patterはこの時期の演奏で、エリントン史にとどまらず、ベース史における記念碑的演奏。
オーケストラの演奏とは別に、エリントンはブラントンとのデュオを録音した。
このとき、ブラントンの死後十余年、55年に全4曲のEP盤として発売される。
ハードバップ全盛の時代に、あえてこの音源が再発された意義は大きい。
15年ほど前の音がなお求められていた証拠であり、
当時のベーシストたちに与えた影響は大きかったはずだ。
Duke Ellington & Jimmy Blanton – Duo, '55
現在はこの形では入手できないが、その音源はこのコンピレーション盤ですべて聴くことができる。
Duke Ellington, Solos Duets & Trios, '90
「including all versions of the legendary Ellington-Blanton Duets」の文句が光る。
この言葉通り、オリジナルの4曲に加え、別テイクの5曲が収録されている。ブラントンを聴いてみたいなら、40-42年の「Blanton-Webster Band」と合わせてぜひこれを。すべてのモダン・ジャズベースの源流。ぶっ飛びますよ。
さらに、このときのSophisticated Ladyの録音が、後年、ミンガスをはじめとする多くのベーシストに影響を与えることとなり、多くのカバーを生むようにもなった。これについては、別館で書いたので、詳しくはそちらをどうぞ。
→ Sopphisticated Lady のカバー。ジャコからクリスチャン・マクブライドへ。その源流はミンガス?
後年、エリントンはレイ・ブラウンとのデュオ作品、「This One's for Blanton!」を録音する。
録音年は晩年の72年12月5日。
音楽人生をまとめているかにみえて、まだまだ創造力を発揮するエリントンが聴ける。
This One's for Blanton! ('72 12/5, Pablo)
補足
レイ・ブラウンは「Live at Starbucks」で、
Mainstem, Love You Madly, Caravanなんていう、
渋いエリントン・ナンバーを3曲連続で収録したりしてる(#6-8)。
ふと思いついただけかもしれないが、
Blanton-Webster時代の曲であり、
ブラウンのベースがテーマを担当してたりしてるところから、
エリントンへのそこはかとない敬意が感じられるのである。
が、こちらには上記のエリントンとブラントンのデュオは収録されておらず、
ブラントンをめいっぱいに聴くことがきない。
「Ko-Ko」などの別テイクも収録されているし、
「'40-'42」を聴いてみるなら上のものを。
個人的には、ジャケットは86年発売のほうが好きです。