25.難病 2024/4

障害者総合支援法」に伴い、身体障害者手帳を持たなくても、重症度、所得によっては公的補助が受けられる場合があります。

眼科疾患では難病法の指定難病(369疾患 令和6年4月1日)(医療費の公的補助、補装具の補助など受けられる可能性のある疾患)には、網膜色素変性、黄斑ジストロフィー、レーベル遺伝視神経症、ベーチェット病、サルコイドーシス、シェーグレン症、重症筋無力症、無虹彩症などがある。(その疾患にかかる医療費の自己負担が3割の方は2割となる。所得によって月額自己負担金が0-30000円ある。)

障害者総合支援法の対象疾患(補装具の補助が受けられる可能性のある疾患)が369に拡大される一方、眼科領域では視神経症が除外されるほか以下のような改正がされました。(ただし、すでに指定を受けた方は経過措置がうけられます。)

すでにあった加齢黄斑変性、網膜色素変性のほか、眼皮膚白子症、アルポート症候群、黄斑ジストロフィー、スタージウェーバー症候群、マルファン症候群、歌舞伎症候群、膠様滴状角膜ジストロフィーなどがあります。

疾病の概要、診断基準、診断書(臨床調査個人票)は厚生労働省のホームページ゙からダウンロードできます。http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/hani/

 

疾患名(番号は総合支援法/難病法難病の通し番号)眼科的所見

総合支援法/難病法いずれにも認められた疾患。

補装具のみならず、所得によっては医療費の軽減もある。介護サービスが使えられる場合もある。

4/300 IgG4関連疾患   涙腺に腫脹 眼窩病変 約1~2万人

7/303 アッシャー症候群 難聴に網膜色素変性症を伴う症候群約8,160 人

12/218 アルポート症候群  前円錐水晶体(anterior lenticonus)、後嚢下白内障(posterior subcapsular cataract)、後 部多形性角膜変性症(posterior polymorphous dystrophy)、斑点網膜(retinal flecks)1200人

27/171  ウイルソン病  Kayser-Fleisher 角膜輪 約2000~3000

160/34 神経線維腫症 眼病変− 虹彩小結節(Lisch nodule)、視神経膠腫など。3588人(H24)

44/301  黄斑ジストロフィ 黄斑ジストロフィー(macular dystrophy)は眼底の黄斑部に両眼性、進行性の病変を呈する遺伝 性疾患の総称 1000名

49/97  潰瘍性大腸炎 虹彩炎、

57/187 歌舞伎症候群 下眼瞼外側1/3の外反・切れ長の眼瞼裂(ほぼ 100%),外側1/2が疎な弓状の眉

64/46 関節リウマチ 難病法では悪性関節リウマチ 上 強 膜 炎 又 は虹 彩 炎

66/164 眼皮膚白皮症 青から灰色調の虹彩、矯正不能な視力障害や眼振等 約5000人

90/96 クローン病 ブドウ膜炎、上強膜炎 39,799人(H25年度)

93/158 結節性硬化症 多発性網膜過誤腫 約1万人

135/84 サルコイドーシス 肉芽腫性前部ぶどう膜炎、隅角結節、網膜血管周囲炎、塊状硝子体混濁など

139/53 シェーグレン症候群 乾性角結膜炎

153/11 重症筋無力症 眼瞼下垂 、眼球運動障害による複視 29210人(H30年)


159/157 スタージ・ウエーバー症候群 ポートワイン母斑、緑内障、網膜剥離 推定患者1000人

171/38 スティーブンス・ジョンソン症候群  皮膚粘膜移行部の重篤な粘膜病変(出血性あるいは充血性)。角結膜上皮欠損(フルオレセインで面状に染色される)と偽膜形成のどちらかあ るいは両方を伴う両眼性の急性結膜炎。

115/ 332 膠状滴状角膜変性  角膜実質にアミロイドが沈着することにより、眼痛などの不快感とともに著明な視力低下を来す疾患。 

患者数 約400人 発病の機構不明 重症度分類 膠様滴状角膜ジストロフィーの重症度評価を用いてIII度以上を対象とする。

201/13 多発性硬化症 視神経炎視力障害、複視、視神経脊髄炎(neuromyelitis optica:NMO)抗アクアポリン4(AQP4)抗体の病態形成への関与 17073人(H24)

280/56 ベーチェット病 ブドウ膜炎 18363人

 292/167 マルファン症候群 水晶体亜脱臼・水晶体偏位等 約 15,000~20,000 人

307/90 網膜色素変性 網膜の視細胞及び色素上皮細胞が広範に変性27158人(H24)

326/302レーベル遺伝性視神経症 網膜神経節細胞が変性脱落し、数ヶ月 のうちに、両眼の高度視神経萎縮にいたる(矯正視力 0.1 以下)年間発症161人 合計約10000人

総合支援法のみに認められた疾患 難病法難病の通し番号

128 サイトメガロウイルス角膜内皮炎 角膜内皮炎 虹彩毛様体炎

162 スモン 視神経障害 白内障

285 ペルシード角膜辺縁変性症 角膜下方の周辺部の菲薄化、突出をきたす疾 患で、両眼性に強い不正乱視をきたす。1500-3000人

/329無虹彩症  無虹彩症は虹彩が完全または不完全に欠損していることで見出される遺伝性疾病で、常染色体優性遺伝形式を示す。責任遺伝子はPAX6遺伝子である。本疾患は出生時から両眼性の強い視力不良を認め、大半が視覚障害児となる。本疾病の発症頻度は10万人に1人とされ、まれな疾患である。性差はない。患者の8割程度が家族性に発症しており、残る2割は散発性に発症する。