第3版 はじめに

大きく書き替えた部分は以下の3点である。

1点は障害年金の初診日の認定がH27年10月から「初診日を証明する参考となる書類」の添付でも初診日と認めることができるようになった。

また、視野の基準が中心10度以内の8方向の残存視野のそれぞれの角度の合計が56度以内(Ⅰ/2視標)で半盲にも該当するものが出た。3級の中に年金はもらえないが、軽いものとして「まぶたの運動障害」に眼けん痙攣、「眼球運動障害」に麻痺性斜視で片眼眼帯をしないと生活ができない。「瞳孔の障害」で対光反応の著しい障害によりまぶしさがあるものなどが明記されるようになった。

2点目に介護保険を追加した。介護保険:65歳以上はどの疾患でも基準を満たせば訪問介護、家事の支援などが受けられるが、眼科においては糖尿病網膜症が介護保険における特定疾病の対象で、40歳以上65歳未満であっても介護保険が適応される。http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/nintei/gaiyo3.html

また、そもそも介護保険には視覚の項がないので、日比野らによれば、以下の項を書き加えることが示唆されている。

第1群(身体機能・起居動作)調査項目で視覚に関連する項目

書き添えること

1-7 歩行 (白杖がないと危ない)

1-9 片足での立位 (1秒以上立っていられない。)

1-10 洗身 (スポンジ シャンプー 石鹸が見つからない。)

1-11 爪切り (飛んだ爪がどこに行くかわからない)

1-12 1m先の指が見えるかだが、これでは評価できたといえるか?

詳しくは本紙の6介護保険の項をご参照ください。

3点目に障害者総合支援法に難病が追加され、身体障害者手帳を取得していなくても難病に該当している方は障害者サービスを受けられる可能性がある。

総合支援法の「特殊の疾病または難病など」332と難病法の「指定難病」306のサービス範囲の違いは後者が

1.発病の機構が明らかでない

2.治療方法が確立していない

3.患者数が人口の0.1%程度に達しない

4.長期の療養を必要とする

5.診断に関し客観的な指標による一定の基準が定まっている

という基準を持っているが、前者はこのうち1と3は要件としないということになっていない。

前者であれば補装具申請は可能。後者であれば医療費助成は可能。

私たちが調べた限りでは、眼科疾患では指定難病は、網膜色素変性、黄斑ジストロフィー、眼皮膚白子症、サイトメガロウイルス角膜内皮炎、スティーブンス・ジョンソン症候群、ベーチェット病、サルコイドーシス、シェーグレン症候群、重症筋無力症などであり、医療費の自己負担の軽減もある。

総合支援法の難病には、指定難病は含まれているが、総合支援法のみの疾患には円錐角膜、加齢黄斑変性、急性網膜壊死、クルーゾン病、スモンなどがあります。

5難病の項をご参照ください。また難病の手引きもご参照ください。

平成28年5月26日

視覚に障害がある方の「くらしの情報集」(山梨県版 第3版) 編集長

山梨県視覚障害を考える会 副会長

甲府共立病院 眼科医長 加茂純子

山梨県版 第3版編集委員会:

大塚恵 (視覚リハビリ指導員)

加茂純子 (甲府共立病院・診療所 眼科科長)

萱沼祐輔 山梨県障害者ITサポートセンター(福祉プラザ)職員

五味梨恵子 (甲府共立病院 ソーシャルワーカー)

酒井弘充 (山梨県立盲学校教諭)

佐野尚子 (福祉を考える会)

田辺直彦(田辺眼科 副院長)

原田亮 (甲府共立診療所 視能訓練士)

福本康之 (山梨県障害福祉課)

穂阪和宏 (山梨網膜色素変性患者の会 ナシの実 会長)